Classic tailoring 7. / Plaid suits




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「プレイドスーツという啓発」
 

20代の頃からクラッシックテーラリングに出会いさ迷うなかで、ある種、「啓発されたスタイル」というのがあるとすれば、私は迷わず、この「プレイドスーツ」をあげたいと思います、
慎重なタウンスーツの一方で、華やかで、その人のダンデイズムを匂わせる「プレイドスーツ」があるというクラッシックの奥深さ、

当初、このプレイドスーツに出会ったときは、やはり驚きを禁じえませんでした、しかし、それは新鮮な「刺激」というもので、魅きつけられました、自分も着たいと思いました、それは、ストライプのスーツをもう一着ビスポークするという感触とは明らかに違う「興奮」だったと思います、


そして、なにより本当に驚き、そのとりこになったのが、様々に美しく織られた古のプレイド生地です、


先日のオープンハウスで「100~ビンテージ生地」をご覧になった方は、実感されると思いますが、英国の昔には、ダークな色彩に密かにパープルのオーバープレイドが入ったものから、多色の先染めの糸を駆使した絵画的なプレイドまで、実に様々な美しいプレイドが用意されていたのです、

この「用意されていた」というのを生半可に考えてはいけません、あの「100~ビンテージ生地」(数えたら100どころか、200~300あった、面倒なので数えるのをやめました)でさえ、あの量とバリエーションですから、その種類は凄まじいものがあります、

多分「英国プレイドミュージアム」ぐらい軽く出来上がるほどです、


つまり、この「プレイドスーツ」は様々に美しく織り込まれたプレイド生地へのオマージュと考えるべきものです、

私は、そう強く思っています、



だから、自分の気に入る、それにふさわしい、プレイドの生地を見つけることにさ迷うことから始めるべきです、それが、この「プレイドスーツ」を自分のものにする重要な「愉しい」過程です、かなり、考えあぐね迷うべきです、なにしろ、相手は膨大な数を誇ります、

生地のコンポジションも、6,7plyのタイトに織られたウーステッド、手織りのリアルシェットランドウール、思わぬ柔らかさと軽さに驚くアルパカツイード、珍しい多色織りのカシミアプレイド、、、その織りも、ドニゴルや、濃淡のある綾、ソルト&ペッパーとプレイドをあわせたものや、様々な色と大小のプレイドの組み合わせ、ダブルプレイド、まるで絵の具の染みのように微かに引かれたプレイド、、、と様々で、これは、職人から生まれた「アート」と呼べるものです、事実、絵画をみるように魅きつけられ、美しいものをみたときに感じる興奮と充実感を覚えます、


迷って当然です、所詮、ひとつに絞れるものではないのです、ルノワールも良い、マチスにも魅かれる、しかし今回は少しヒネッてモジリアニにしょうという程度の選択です、



そして、迷いをひきずりながらも取り上げたプレイドで、スーツができあがったら、それにふさわしいシャツ、タイ、靴下、靴、ポケットチーフ、それらを丁寧に選んでいくべきです、

当初は、手持ちのシャツにタイをあわせて、そして徐々にイメージをふくらませながら、時間をかけてふさわしいものを探していくのも愉しいと思います、茶の味わい深いソルト&ペッパーの地にオレンジのダブルプレイドには、オレンジのタイが良いかもしれません、或いはかえって深い紺のカシミアの綾が良いかもしれません、いや、それに少し色が混じっているものが、、、何年かかっても良いと思います、


「プレイドスーツ」は着こなしの妙を引き出してくれるものです、或いは、それを要求するものかもしれません、靴下まで手を抜かないで、永年をかけて「完成」されるべきもので、そして、それはかなり高度な洗練の極みを見せた組み合わせまでをも本人しだいではチャレンジできます、

つまり、おおげさにいえば、自分の感性の成熟の見せ所、ひとつの愉しい「課題」としてワードローブに潜んでいるものともいえます、おおいに迷い、ひとつひとつを完成させていくことに喜びを味わうものです、


それが、「プレイド スーツ」という啓発だと思います、






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by tailorrikughi | 2008-10-30 11:15 | 7.Plaid suits
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