Column / The Astaire   Step in the Time






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Column  /      The Astaire   Step in the Time_b0151357_165350100.jpgアステアは、日本人好みの美男子というわけではないので、
日本では、いまひとつ評価が低いような気がするが、
アメリカでは、やはりダンデイといえば必ず上位に入ってくるハリウッドスターである。

手元にある「ハリウッド ポートレイツ」という
ハリウッド男性スターのポートレイトの古いレターセットにも
ケイリーグラントなどと並んで、ダンデイな姿が、その一枚に加えられている。

アステアは、サビルローのあるテーラーでスーツを頼んでいたらしいが、
この時代のそのテーラー、或いはその時代のサビルローはやはり黄金期だったのか
今とは違うラインがそこにある

下の写真のアステアにしては珍しい、4つボタンのダブルブレステッドは
なかなか魅惑的な、イギリスらしからぬシャープなラインを描いている

多分、グレイフラノであろうそのスーツを
アステアは下のボタンひとつで留めて少しいなせに着こなしている。








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Column  /      The Astaire   Step in the Time_b0151357_16581290.jpg「イースター パレード」でみせた、
珍しい6ボタン、3つ留めの、クラッシックなダブルのリーファースタイルの
スーツ姿も良かった。

サビルローのそのテーラーは、カッターによってスタイルに違いがでる、
これは、変に思われるかももしれないが、考えてみれば当たり前のことで、
優れたカッターがいる時代は優れたものができあがる

アステアが活躍した黄金期と、
実は、1970年代と80年代初頭のわずかの期間もまた、
このテーラーのピークだった、
優れたカッターがいたのだ、


この時代のハンツマンもそうだった、
この時代には50代後半から60代の1950年代以前を知るカッターがいて、
両者とも、少しアメリカ風というのか、例えば
ハンツマンのあのワンボタンの上着は、かなりVゾーンが深く、
その、ウエスト位置が低いワンボタンに向かって、
思い切り良くシェイプしていた、

この時期は、押し寄せるピーコック革命(懐かしい)や、
デザイナー既製服の台頭とサビルローは次々に揺さぶられ、
優秀なカッターは、何とかしなきゃならんと、
危機感をもって、新しい波もそれなりに取り入れ、
結果、良い仕事をした、

それから、80年代にはいって、
サビルローは英国経済とともに急激に廃れていく、
「職業」としてのテーラーに魅力がなくなり、人が離れていった
次世代を担うべき人材の補充もままならなかった、、
その空洞の時期が、今に響いている。





Column  /      The Astaire   Step in the Time_b0151357_19214449.jpgそうそう、
アステアはいつも良い靴をはいていたことを忘れてはいけない、
パリやロンドンでちゃんとビスポークしていて、
いつも、スーツにあった靴をはいていた、
その合わせ方もアステアらしい洒落があった、

右の靴を無造作に並べ上げたアステアの写真はどうだ、

アステアは、仕事のせいもあったろうけれど、
本人もお洒落を愉しんでいたと思う、
それも、決してシリアスにならず、
アステアらしいさっぱりした、洒落たスタイルで、、、
この人には、やはりスタイルがあったんだな、


アステアの精神よ、永遠なれ。









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by tailorrikughi | 2008-08-19 17:11 | ■Column(New)
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