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Classic Tailoring / 100年素材「Guanaco(グアナコ)」 * Chesterfield Over Coat 



TAILOR CLASSIC   
21st Century
Elegancy


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Guanaco
100年素材「グアナコ」×「クラシック チェスターフィールドオーバーコート」

人は「裸のサル」である限り、衣服を身に纏わざるを得ない、
「イチジクの葉っぱ」を手始めに、我々はこれまで実にさまざまな素材を身に着けてきた、近年は主にウールをイエガー博士の「健康に良い」という推奨と尽力もあり身に纏うことが多かった、

しかし、「裸のサル」の幾人かは、「健康に良く」、実用的であることだけには飽き足らず、「誰も着ていない」、或いは「その希少さ」ゆえに「高価な」素材を捜し求め始めた、

アダムとイヴが聞いたら、さぞや嘆くだろう、



最初に標的にされたのは、アンデスの山奥に潜む、穏やかな小動物「ビクーニャ」だった、確かに、極めて繊細なその毛で織られた「ヴィキューナ」は、柔らかく、つややかで、「繊維の宝石」と言えるだけの魅力を放っていた、

こうして「ヴィキューナ」は「究極の一着」となった、

しかし、図に乗った人間どもは、あまりに乱獲したあげく20世紀後半には生息数を一万頭まで減らし、また、あまりに高価になり過ぎた、札束をまとって歩くわけにもいかない、そして、このことが「究極の一着」であるはずのものに「供給」と「質の不安」をもたらし始めた、


そこで、ここ10数年、現れたのが、やはりペルーの高地に潜む「グアナコ」だ、非常に気品のある姿をしている、


        



私もまた究極の「ヴィキューナ」をここ数年探し歩いたが、納得できるものは見つからなかった、
確かに、80年代以前の「ヴィキューナ」には良いものがあった、それは、80年代以前は、幸か不幸か我々は、「乱獲」という言葉すら浮かばず、思うが侭に良質なものをただ求めていたからだ、

この時代でも、かなり高価だったが、テーラーのフィッテイングルームでは時折、上得意だけに「極上のヴィキューナが入りました」と秘密めいて囁かれるのを聞いたことがある、高価ではあったが、仕立て屋好きの究極の一着としては納得する「質」があった、


事実、私は、その時代の最高のヴィキューナがあるのなら、それが良いと思う、
しかし、今の養殖されたヴィキューナには食指が動かないし、まともなテーラーなら今のヴィキューナの質の低下には嘆かざるを得ない、知らない人には分からないだろうが、昔のものは格が違う、
しかも、値段は倍ではきかないのだ、



グアナコは、こうした背景から近年になって扱うところが多くなった、色々、研究してみたが、むしろ私は、質の良いグアナコなら、今のヴィキューナよりも良いと断言できる、それでも値段は高価ではあるが、ヴィキューナという名前がただ付いているだけでその倍も出すよりは納得のいく質を「グアナコ」は持っていると思う、



        



しかし、人間と同じでグアナコもその「質」は「個体」によって違う、
これから、ご紹介する「極上のグアナコ」は、「ホワイトカシミア」と同じく「バブルの時代」に日本の織物メーカーが織ったものだ、

これは、ずば抜けて糸が良い、これを触ると「カシミアより質が良い」ということや、往年のヴィキューナに匹敵するということが実感できる、今や、大概のものは「名前の違い」だけで、実際カシミアなどと比べてもその質の差がはっきり素人には実感できないものが多い、しかし、これは触れば目利きでなくとも分かる、それぐらいの説得力のある質を持っている、


        




生地の質は「糸」でその良し悪しの7割が決まる、ビスポークシューズが、いくらへ理屈を並べたところでラストで7割がた決まってしまうのと同じだ、

そして良い糸、良いラストというのは思っている以上に手間とコストがかかり、簡単には手に入らない、それはそのベクトルに向かって本質的な努力を正確に積み上げていくしかない、しかも、そのこと自体が言うが易く行うのが難しい、いまや多くのつくり手自身が「本質」よりは「包装」に気がいっているのはそうしたことなのだろう、

近年の「マーケテイング」という概念は、簡単に言えば効果的かつ効率的な「販売手法」の追求に他ならない、この概念は、一見、「販売」とはかけ離れているような甘い言葉を取り込むことで発達してきた、いわく「手作り」の或いは「サロンのような」、、


しかし、「手づくり」というのは「誰が」、「誰のために」つくるかに意味があり、「サロン」はもとより「閉鎖的」なもので、そこに存在意義と「質の維持」があったことは考えてみれば分かる、
実態としては、今や多くのものが人の良さは別としても、クリアに言えば「マーケテイング ワード」にしか結果的に過ぎないことに終始している、その結果、「質」をどう捉えて良いのか分からないつくり手や「語り手」が多い、

簡単にいえば、モノを本当には知らないということになる、



ところが、高度成長以来、こうした日本の特性といえる八方美人の「マーケテイング」なモノづくりの歴史のなかで、唯一、「質」に真正面から向かった時代がある、

それが「バブルの時代」だ、

それは、引っ込み思案の日本人にしては珍しく、具体的な「体験の時代」でもあった、


かなりな「勘違い」と、「浮かれすぎ」があったにしろ、この時代だけが贅にあかせて日本中が「極上の質」を求めた、この時ばかりは、貧相に「精密」で誤魔化しばかりの「販売手法」からブッ飛んで、下品なまでに贅沢な質を捜し求めた、


これは面白いと思う、「100年素材」で歴史的アプローチをしていくと、この「バブルの時代」が浮き上がってくる、先ほど述べたように多くの「勘違い」があるものの、日本人が世界のなかで実際に文句のつけようのない極上のものを手にいれているのは後にも先にもこの時代だけかもしれない、これは、今となっては「ありがたい」、


これは、そうした「バブルの時代」の好例といえる「極上のグアナコ」である、





Guanaco
100年素材「グアナコ」×「クラシック チェスターフィールドオーバーコート」
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かなり次元の高い生地だと思う、「フワフワ」、「ヌメっと」、「柔らかい」とかと云う次元とは質が違う、しっかり実が詰まっているが、糸が最上なので驚くほどの「しなやかさ」を見せるのだ、その柔らかさは何も「抵抗」を見せない、

間違いなく「極上」といえよう、あとは、カメラの機能がそれをどこまで表現してくれるかだが、、、(もう少し、茶が入っているが光沢を見せるので薄く見える、この極上を映すのは写真ではなかなか難しい)


色は「オートミール」或いは、ゴールドが混じった茶、と表現すればいいのだろうか、上品な色だと思う、何よりタッチが素晴らしく良い、下手なビキューナよりは格段に優れていると断言できる、

変な加工はしていない、しかし、それでも糸が良いので、いやがおうでも光沢をみせる、そして、まるで分厚い極上の絹のように美しくドレープしていく、落ち感が素晴らしい、(これは特筆したい、これほど豪奢なドレープを見せる生地は本当に稀有だと思う、)

非常にしなやかで、最上のグラナコを極めて密にタイトに贅沢に織ってある(目付けが充実している)、天然の極上のグラナコの快楽を十二分に味わえる稀なものだと云える、

色が上品で、着易い色だと思う、ただ、確実にオーラが出ると思う、
これ以上の言葉を重ねるより、実物が素人にもわかるほどの説得力をもっている、

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この「グラナコ」で仕立てるべきは、極くクラシックな「チェスターフィールド コート」である、

ダブルブレステッドでもシングルでも良い、しかし、ちゃんと膝下まであるクラシックな品のあるヤツ、


スーツはビスポークしても、冬の間しか着れない「オーヴァコート」は既製品という方もいらっしゃるが、実は「オーヴァコート」ほど、良いテーラーで頼めばビスポークの見栄えがはっきり違うものはない、ただ、良い「オーヴァコート」を仕立てられるのは、良いテーラーだ、
これは言葉遊びではなく、「オーヴァコート」を数多く仕立てているテーラーは、良い顧客が集まっているテーラーで、一般的なテーラーは実は「オーヴァコート」を仕立てた経験が少ないということができる、


そして、ほとんどのテーラーでは、「オーヴァコート」の仕立て代は「ビスポークスーツ」と同額程度になっているはずだ、
これは、オーヴァコートは「振り回し」(縫う際の扱いが大きいだけに手間がかかり、スペースも必要になる)も大きく、縫い上げるのにスーツと変わらない手間と時間が必要なことが理由している、


私がビスポークコートを仕立てる、もうひとつの愉しみは「裏地」にある、

スーツに比べて裏地も大きく、良い、極上のシルクを張ると実に豪奢なのだ、スペースが広いので、スーツには控えられる「大柄」のものでも、かえって見栄えがする、

ただし、スーツに比べてシルクの要尺も倍以上かかる、

この上品で贅沢なオートミールのグアナコには、どんなシルクの裏地が似合うだろうか、


        





「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
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by tailorrikughi | 2009-06-20 02:30 | 20.GUANACO

Classic Tailoring / 100年素材「ホワイト カシミア サックスブルー」 ×SPORTSCOAT 



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WhiteCashmere
100年素材「ホワイトカシミア サックスブルー」×クラシック スポーツコート

カシミアの原毛には3つのグレードがあって、漉き取られた原毛は「ホワイト」、「グレー」、「ブラウン」と分けられる、「ホワイト カシミア」は原毛の数パーセントにしか過ぎず、カシミアの中でも最も高価とされている、
淡い色はホワイトカシミアでしか染められない、


本当に良いホワイトカシミア100%でマフラーを「一本」織ろうとすると、少なくともカシミア山羊5~6頭は必要になってくる、そして、このホワイトカシミアの中でも、繊維の長く細い毛だけを選ぼうとするとさらにその量は限られてくる、





カシミアは、「チャイニーズカシミア」が最高とされている、次に「モンゴルカシミア」が良いとされている、獣毛はすべてそうだが、良いものは、意外にあっさり繊細で、しなやかで軽い、誤解を恐れずに言えば少し頼りなくも見える、しかし、それは、愛用していくうちに空気を含みふくよかになっていく、良いカシミアは生きている、

良くないカシミアというのは、変に「厚く」、「重く」、「ボッテリ」している、それは、「太い」毛を混ぜてあるからで、今、ヨーロッパのカシミアに多く使われている「ルシアンカシミア」などがそうだ、カシミアは原産地でかなり違う、





「チャイニーズ カシミア」は糸が繊細で美しく、軽く「薄い」、しかし、すべての「チャイニーズカシミア」が良いと言う訳ではない、もっと言えばすべての「チャイニーズカシミア」が100%チャイニーズカシミアという訳ではない、

これは、100年素材の「フィンクスコットン」で「混ぜられた綿」について触れたように、いまや、カシミアも「混ざりもの」が主流になりつつある、さらには、異なる原産地、異なるグレードのカシミアを混ぜるだけでなく、ウールやシルク、或いはアクリルなど化学繊維さえ混ぜられているものがあると聞く、





では、こうした幾多の面倒を越え、確かな「チャイニーズカシミア」を手にいれたとしよう、次に問題はこれをどう紡いで織っていくかということだ、

先ず、カシミアは「トップダイ」でなければいけない、
糸の段階で染める、いわゆる「先染め」を「ヤーンダイ」という、一番、粗雑なのは、織ってから染める「プロダクトダイ」である、「トップダイ」は原毛の段階で染めることをいう、もちろん、コストや手間は「トップダイ」が最もかかる、

上質な細いカシミアの毛をしっかり染めるには「トップダイ」でなければならない、

しかし、それでも淡い色のホワイトカシミアを織るというのは「リスキー」なのだ、黒やネイビー、ブラウンなどと比べて「事故」が起こりやすい、つまり、ごく小さな色のたまりが数メーターに一箇所と時折出てしまう可能性は高い、(この極く小さなシミを修繕する<ペイントでごまかす>ことを専門技能にしている業者もいると聞く)一箇所でもそれが出ると高価なホワイトカシミアは「事故品」になりはててしまう、(こうした、事故品の多くは製品染めで「黒く」染められる、カシミアに黒が多いのはそうしたわけもある、)






こういう「リスキー」で、やたらと手間とコストのかかる「ホワイトカシミア」を最高のチャイニーズカシミアを買占め贅沢にあかせて織っていたミルがいる、「バブルの時代」の日本の某織物メイカーだ、

それが、これから紹介するホワイト チャイニーズカシミア100%を「サックス ブルー」で染めあげた今回の「100年素材」だ、もう、二度と現れないだろう、




WhiteCashmere
100年素材「ホワイトカシミア サックスブルー」×クラシック スポーツコート

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この生地は近年、稀にみる美しい生地だとは思う、すこぶる糸が良い、そして極めて「タイト」に織られている、

「タイト」というのは、日本の織物メーカーの特性なのか、良質であるだけでなく、どうしても「頑丈な」ものを作ってしまうのだ、これも必要以上に密に織られている、
カシミアの織りの上手い英国ならば、もっとこの極上の糸を生かして、「いかにも高級品」を迷わず織ることだろう、

そういう意味では、変に加工していない正直な織りだとも云える、

今回は、それでも糸が抜群に良いので存在感が出ている、いかにもカシミアという光沢を出す仕掛けもしていない割には、最上の「質」が質ゆえの光沢を見せている、

ピュアな100%カシミアの美しさとタッチを味わえる生地だと思う、

ある意味で、この「バブルの時代」の、最高品質の糸を使い、独特の頑丈で「正確」な織りの「日本のカシミア生地」は、英国でもない、ましてやイタリアでもない、独自の「カシミア生地」にカテゴライズさるべきものに、図らずしもなっているのではないかと、私はふと思ってしまう、



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そして、この「サックスブルー」のカシミアで仕立てるべきは、スポーツコートである、それも、極くクラシックな2つボタン或いは、3つボタン段返りのシングル前のものだ、


変に凝ったことはしなくて良い、サックスブルーとこのカシミアの質で充分、存在感はある、

デイテイールに自分らしさを出すとしても、良いアンテイークのブラスボタン或いは文様入りのホーンボタンが見つかればそれをつけるがいい、ポケットは、チケットポケットや、スラントの角度をわざと大きくとっても良いが、ハーフムーンポケットはやり過ぎだ、わざとアウトポケットにするのは面白いと思う、

むしろ、ハンテイングボタンの由緒正しきものを探すべきだと思う、

合わせるのはもちろん、良いホワイトフランネルのスポーツトラウザーズ、スポーツコートの下には模様入りの少し古式のスリップオーバー(ニットベスト)をめかし込んで奥行きを与える、凝らずにガーゼのようなウールのエクリュか、オフホワイトのクラシックシャツ、タイはあえて結ばず、奥ゆかしいスカーフを首元に巻く、無地のかわりに、色さえ合えばドットや小紋のスカーフでも良い、

靴は、もちろんアーモンドトウのデイアスキン、エクリュかホワイトのセミブローグにシルクリボンを奮発しよう、

これを、無造作に100年着続けている風情で着こなす、、、


はたして、貴方は、その優雅でクラシックな匂いのする装いをあっさり着こなすことができるだろうか、

その自信がある方だけに、この美しいカシミアをお勧めする、








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by tailorrikughi | 2009-06-15 22:40 | 19.White Cashmere

「Classic haberdasher 六義」 オープンのお知らせ



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Classichaberdasher
六義
 
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ロンドンの「スウェニー&ブリッグ」(オクスフォードストリートにあった頃の)やパリやニューヨークの「シュルカ」など、
ワクワクするような紳士のための雑貨店がありました、

「紳士のための雑貨店」、それを「haberdasher」と呼びます、



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若い私は、毎日のようにそういった店を覗くのが愉しみでした、
多分、一番、そういうものを欲していた時期だったからかもしれません、


その記憶がどうしても忘れられません、

それは年々「美化」され、夢のなかではワクワクするものを溢れさせて私を待ち受けています、
その魅惑は抗し難いものになっていきます、、


街には「モノ」が溢れ、しかし反面、そういう店、「モノ」が
「銀座」に居ても残念ながら見当りません、

どこかに、ひっそりと潜んでいるのでしょうか、

そんな私が、いっそ、、、と思い始めるのは自然の成り行きでした、


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しかし、六義庵はスペースも限られています、
アトリエでは、仮縫いや採寸という極めてプライベートなことが執り行われます、
大久保と私がよりパーソナルにお相手できる「完全予約制」というのは崩したくありません、


考えあぐねた末、
理想の「haberdasher」をウエブ上に開くことにしました、

ただし、私は老人でしかもマイペースが抜けず、
かつ、拘りの塊でもあります、
時間をかけながら、ひとつづつ納得できるものをつけ加えていきたいと思います、






西欧では、「7」をラッキーナンバーとしますが、日本では古くから「六」という数字が
ものごとの完成された秩序を現すものとして信仰されてきました、
六道、六法、六書、、、、


四つのブログと実はもうひとつの秘密、そしてこの Classichaberdasherで、今回でちょうど6つのサイトが揃いました、
極めてマイペースですが、



どうぞ気長にお付き合い願えれば幸いです、

6月 吉日


Classichaberdasher (*ほぼ毎日更新、初めて訪れる方はログイン登録が必要です)



R.H.


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by tailorrikughi | 2009-06-03 13:57 | ■NEWS(NEW)