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Classic tailoring 9. / Silk Dupioni & Lux Silk Wool



TAILOR CLASSIC   
21st Century
Idea



Corrrect Style & Timeless Quarity
Style
Style |  Dupioni ノスタルジックな贅沢 




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「デュピオーニ  ノスタルジックな贅沢」

DUPIONI、、、デュピオーニと呼ばれる少しネップがはいったシルクで仕立てられたスーツは、古の紳士のクラッシックなワードローブの一着でした、ただ「一着」といっても、贅沢な一着です、極めて貴族的なコノシュアーなものです、

このデュピオーニというシルクは、優れた生地で、意外にシワになりにくく、なにより上質のウーステッド以上に美しいドレープを生み出します、この仕立てて美しいドレープを生み出すところが特徴で他のシルクとは違うところです、つまり極めてしなやかで、身体になじむのです、

そして、タイトに織られたウエイトのある絹独特の味のあるタッチと、紬に似たつやを消した品の良さ、しかし光の具合で豪奢な光沢もみせるところが、「最上のシック」と呼ばれる所以です、

ただ、最良のテーラリングでクラッシックなスーツを仕立てるべきです、

デュピオーニには様々な色がありますが、やはり一番お勧めしたいのは、品の良い「タン(ベージュ)」です、黄色味を帯びた明るいベージュから、少しおさえたダークベージュまで、この色でクラッシックなスーツを仕立てると極めて上品で、永遠の贅沢さを手にいれることができると思います、



b0151357_4295884.jpg私は、一時、このデュピオーニに凝って何着かスーツを仕立てました、
生地も、各年代、各ミルのものを捜し歩きましたが、やはりそれぞれで違っています、
いや、むしろ極く限られたミル、年代のものでしか本物には出会えません、厳しくいえば、それ以外は「もどき」です、
それは、このシルクの成り立ちに関係しています、


元来、このデュピオーニという変わった生地の名前は、イタリア語のドッピオからきています、つまり「ダブル」ということです、なにがダブルなのか、

このデュピオーニは、繭のなかに蚕が2匹いるダブルコクーン(2重の繭)のみからつくられるのです、一種の奇形です、いまは、人工的にそうする方法があるのかもしれませんが(定かではありません)、昔は全く自然に従ってそうした奇形のみを集めてデュピオーニが織られました、


ダブルコクーンは通常の繭よりも大きく、紡いでいくと一個の繭でほぼ1キロメートルという長さになります、つまりウールとは比べ物にならないほど「繊維」が長いのです、繊維の長さは丈夫さに繋がります、しかも、2匹の蚕による天然の2plyの撚糸ですから、糸自体に自然が与えた丈夫さとしなやかさが宿っているのです、これがデュピオーニの秘密です、



そして、この2匹の蚕が紡ぐ糸はそれぞれで、当然微妙に厚みが違ったりします、天然の2plyで撚られたこのランダムな糸の厚みの差が、あの味わいのある不定形、不規則なネップ=スラブを生み出していくのです、

スラブの有り様は蚕たちの糸次第、だから、同じ生地はふたつと存在しません、コンピューターにはできない天然のスラブなのです、


そのスラブは、ときに微細で、ときに大胆に生地に盛り上がりをみせます、それが、この生地に一種の「エレガント」な「野趣」という表情を生み出します、

私がデュピオーニに魅かれてやまないのは、この「エレガント」と「野趣」をあわせもった、優れて天然の素材であるからかもしません、

つまり、コンピューターやデザインでは生まれない「優雅」です、その意味では、時代遅れの=ノスタルジックな贅沢さをもった素材といえます、
デュピオーニは、仕立てるにも織るのにも手間のかかる素材でもあります、本物のデュピオーニは幅の狭い生地しか織れません(横幅が75センチ、通常のウールは150センチ)、シングルの2ピースのスーツを仕立てるのに、約5000個のダブルコクーンが必要といわれます、






「シルクは人間の皮膚にもっとも近い素材,それが21世紀スタイルにふさわしいと思う」

デュピオーニのスーツは、そのドライな生地の表情からクラッシックワードローブにおいては春夏のものとされていますが、色によっては通年を通して愉しんで良いと思います、

デュピオーニという素材は述べてきたように、非常に優れた素材で、味わい深い表情を持っています、これを機会に少し「シルク」という素材を探ってみましょう、

いままで、「シルクのスーツ」に慣れない我々は、単に成金趣味と捉えて多くの誤解を持っていたようです、

例えば、シルクは「弱い」、「ケアに気を使う」というのは誤りで、冒頭述べてきたように、素材のなかでも極めて繊維の長いもので、コットンやウールよりも強度があります、しかも吸湿性においてはコットンの1.5倍で、なおかつ余分に吸った湿気の放出性にも優れています、つまり、汗をかいてもすぐに吸収、放出してくれるので快適さを維持できるということです、これは他の素材と大きく違うところで、デュピオーニがウオームウエザーの最良の素材として重宝されたのにも理由があるわけです、



また、その吸湿性の高さは生地に静電気を起こりにくくして、埃を吸いにくく、実際に手持ちのウールとデュピオーニのスーツを比べるとその違いが歴然としています、そう云えばシルクのスーツにブラシを当てたことがない、
埃がつきにくいのは日常のケアに手間がかからないだけでなく、身体にも優しい素材だということです、
元来、シルクは、蚕が作り出すアミノ酸が組み合わさったタンパク質でできた、つまり最も人間の皮膚に近い素材です、探ってみると、そのほかにも「燃えにくく」、なんと「紫外線の遮断効果」もある(天然のUVカット素材!)


日本人が古来から絹の着物を好んだのは実に優れた選択で、私は、21世紀スタイルの素材として、最も人間の皮膚に近く、美しいシルクはもっと見直すべきものだと考えています、







b0151357_3391459.jpg■ 「タンベージュ」 Classic Choice
最もお勧めしたい「タンベージュ」です、
独特の上品さと贅沢感があります、




b0151357_3405448.jpg■ 「ベージュ」 Classic Choice
これも良い色です、「タンベージュ」よりは控えめで、
ビジネスシーンにも抵抗はないと思います、
光沢の出具合で不思議な質感を見せます、


b0151357_6485170.jpg■ 「トープベージュ」


b0151357_6172089.jpg■ 「ブラウン」


b0151357_650660.jpg■ 「エレファント グレイ」 Classic Choice
何故か、デュピオーニに限っては、この象のグレイと呼ばれるクラッシックなグレイが好まれます、このグレイでなければいけないとさえ云われていました、
たしかに、上品な色です、



b0151357_651368.jpg■ 「ステイール ブルー」 Classic Choice
個性的な青ですが、クラッシックな「指定色」です、
すこし、グレーがはいった落ち着いた青です、



b0151357_6515432.jpg■ 「ネイビー」


b0151357_6524647.jpg■ 「ミッドナイトブルー」
ミッドナイトブルーのデュピオーニは、いまや真冬を除いて年間を通じて着て良いのではないかとも思います、



b0151357_21382088.jpg■ 「クリーム」 Classic Choice
クリームも、実は古からデュピオーニの「指定色」でした、
トップの写真でチャールズ皇太子が着こなしているのも、この「クリーム」です、
これは、クラッシックな選択なのです、








「シルクウール  ノスタルジックな贅沢2」

デュピオーニが天然の贅沢さならば、「シルク&ウール」は人の知恵が生んだ賢い優雅さをもった素材です、私は、もっとこの素材を活用すべきだと思っています、

ウールの特性とシルクの特性(吸湿性に優れ、余分に取り入れた湿気を放出することにも優れ、最も細くて長い繊維であるため強い)をあわせもったこの素材は、美しいドレープを生み出し(仕立てにむいている)かつ独特の光沢を見せます、

ただ、やはり良い糸でしっかりタイトに織られた上質のものを選ぶべきで、質をともなわない、昨今のイタリア製のものなどは、かえってその光沢が安っぽく、品のないものに映ります、それらが、この「シルク&ウール」を誤解させ、その特質に気づかせないのだと思います、


正直にいって、私も当初は、さほど強い興味はありませんでした、「ウールは「ウール」の良さ、「シルク」は「シルク」の良さ、それで良いのではないか、

それが変わったのは、あるところでビンテージの「シルク&ウール」を見たときからです、
それらは、ただビンテージというだけでなく、素材の質として優れていました、まず、ウールの糸が良く、タイトに良く織られていました、タイトに織られたウールだけでも自然に良い光沢があります、加えてそれにシルクが混ざることで、たしかに、独特の光沢をもった「素材感」を見せます、なるほど、こういう次元まで良く織られると素材としての意味があるなと感じました、

つまり、「シルク&ウール」は「上質のもの」に限って面白いと思います、そういうものは、ウールの量感とシルクの優雅な光沢を併せ持っていて、これは、たしかに、単一素材にはない個性をもっています、

そして、もうひとつ、この素材には柄もののバリエーションが多く、探すと非常に凝った織りと色彩設計のものがあります、これも、この素材の見逃せない魅力です、





b0151357_341465.jpg■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール プリンス オブ ウエールズ」
これは、非常にタイトに織られています、美しい色だしだと思います、ブルーと渋いエビ茶が遠目にみたとき素直で上品な調和を見せます、上手い色彩設計だと思います、ウールの質感も残っています、しかし、その光沢はなめらかな絹そのものです、

クラッシックなプリンス オブ ウエールズも、シルク&ウールにすることで、表情が全く違ってきます、
 




b0151357_3423186.jpg■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール 変わりプレイド」
面白い織りです、ブルーのオーバープレイドが立体的に織られています、 




b0151357_13435863.jpg■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール 」



b0151357_1701371.jpg■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール 」




b0151357_13585944.jpg■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール 」





b0151357_6583276.jpg■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール 」



b0151357_722884.jpg■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール 」





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■ 英国製「ビンテージ エクストラファインメリノ & シルク」

メリノウールという表示のある生地は時々見かけます、ただ正直にいって質の差があるように思えて仕方ありません、これは、わざわざ「EXTRA FINE MERINO」と表示されているだけあって、確かに糸が良いと思います、それにシルクが組み合わされているので、タッチがカシミアに近い極めて柔らかいものになっています、

ただ、ウエイトもあり、タイトに織られていてスーテイングの生地として相応しく、この柔らかさは仕立てると美しいドレープが生まれると思います、面白いのは、細かい綾織になっていて横糸にコーヒーブラウン、縦糸にベージュが織り込まれていて良く見ると味のある濃淡を生み出しているところです、シンプルですが表情豊かな生地だと思います、





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■ 英国製「スーパー120`sウール&シルク」

これは、色が秀逸で、ブルーとグリーンが混ざった綺麗な発色のハウンドツースです、ハウンドツースの大きさとしては、細かいスーテイングに適した大きさです、
上質のスーパー120‘sとシルクの組み合わせは、シルクジャガードを思わせる量感のある光沢をもっています、
ウインザー公が、このような明るい細かいハウンドツースで4つボタンのダブルブレステッドを仕立てて、コットンの蝶タイを結んでいたのを思い出します、


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■ 英国製「ビンテージ シルク&ウール」
これも糸の良いウーステッドとシルクの組み合わせで、タイトに織られていますが非常に柔らかく仕上がっています、
ビスケットベージュの色が豊かで、華やぎのあるプレイドだと思います、箱ポケットのあるスポーツテイストのジャケットや、スエード(エクセーヌやファシルモなど日本が誇る人工スエードも優れた素材です)の肩あてや胸ポケットのあるシューテイングジャケット、膝丈のスポーツコートなど優雅な時代を思わせるカントリークラッシックを仕立てても面白いと思います、













「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
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copyright 2008 Ryuichi Hanakawa

by tailorrikughi | 2008-11-18 00:50 | 9.Silk Dupioni

Classic tailoring 8. / Tartan Trews



TAILOR CLASSIC   
21st Century
Idea



Corrrect Style & Timeless Quarity
Style
Style |  タータントリューズとラウンジスーツ




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「 タータン トリューズとラウンジスーツ」



「Trews」というのは、セミ・フォーマルウエアにあわせる縞柄のトラウザーズのことを総してそう呼びます、つまり、黒のシルクの即章がついた以外のもの、

この縞柄以外に唯一柄物として、許されたのはタータンです、「タータン トリューズ」、、これは、ウインザー公の影響でタータンが一世を風靡したとき、50年代あたりの洒落者に流行ったスタイルで、タキシードや、或いはモーニングにも合わせたりしました、たしかに洒落ています、当たり障りのないフォーマルが、これだけでちょっと新鮮にみえます、
英国などでも、田舎の結婚式に行くと、モーニングにタータン トリューズを合わせた人をチラホラ見かけたりしますから、これはこれで認められているといえるでしょう、それに、タータンはハイランドスーツを思い起こすまでもなく、由緒正しきものですからね、


このタータン・トリューズ(ここでは愛情を込めてそう呼びましょう)は、ホワイトフランネルと同じく、実に便利で、クラッシックなトラウザーズです、ブレザーに、コートに、セーターに合わせて良く、新鮮で、もっと活用されるべきだと思います、いや、それどころか、この「タータン」という魅力的なモチーフをもう一度見直してみるべきだと思います、

そして、タータンもまた奥深いアーカイブを持っています、









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「スコットランド製 ビンテージ ブラックウオッチ」
ブラックウオッチは、作家のイアン・フレミングなども所属していた「42ndハイランド王立連隊」(ハイランド=スコットランド)のユニフォームを起源としています、

このブラックウオッチは応用の利くクラッシックタータンで、ジャケットやトラウザーズはもちろん、スーツに仕立てても魅力的です。クラッシックですが、いつの時代においても新鮮だと思います。
スーツなどに仕立てる場合は、ブラックウオッチのように「ダークタータン」と呼ばれる同一トーンで織られたものを選ぶのがコツだと思います、

写真のブラックウオッチは、70年代~80年代にスコットランドのミルで織られたものですが、スーツに仕立てることを前提としてリ・デザインされたものです。クラッシックですが、すこし工夫がされています、
微かにライラック(写真では光があたって表面にライラックが浮かんでいますが、通常は織りのなかに沈んでいます)を仕込んであるのと、よく見ると縦線、横線の組み合わせが変則しており、通常よりデザインのブロックが大きく複雑にとられています、








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「スコットランド製 ビンテージ タータンツイード」
これも、同時期に同じミルで、スーツを仕立てるという前提で、デザインされたダークタータンツイードです、100%、リアルシェットランドで極めてタイトに織られていますが軽くしなやかです、

色彩設計が、アンティークラスト(赤錆色)をキートーンに上品に組まれているので、スーツに仕立てても納まると思います。ハーフムーンポケットや袖口にクラッシックなカフがついたカントリーテイストの三つ揃いなどに仕立てると新鮮だと思います、





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「スコットランド製 ビンテージ アンシエント ダグラスタータン」
どうしてなのかは定かではないのですが、タータンによって「モダンタータン」と呼ばれるものと、「古代タータン」と呼ばれるものがあり、このダグラスタータンも、「モダン」と「古代(アンシエント)」では、色柄が違います、

タータンには、同じダグラスタータンでも「Weathered タータン」、「ハンテングタータン」、「ダンシングタータン」とあり、それぞれが色柄が違うという複雑(?)さを持っています、

アンシエントダグラスタータンは英国では好まれ、ウインザー公をはじめとしてスーツに仕立てられることが多いように思います、





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「スイス製 アンゴラミックス タータン」

これは、80年代のスイス製のタータンですが、アンゴラを30%混ぜてあり、少し表面が起毛していて非常に柔らかく仕上げられています、
スイスのミルの80年代のものには、主にパリのオートクチュール用に織られたものに優れたウール地があります、これもそのひとつで、ツイードなどとは違う、上質のカシミアのような繊細な表情をしています、
軽い、アルスターコートなどに仕立てても素敵だと思います、



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「スコットランド製 スペシャルウーブン モダンタータン」

これは、スコットランドのミルに特注で織らせたものです、実物は写真より青が控えめに映ります、
いわゆる歴史的なタータンではなく、新たに色彩設計をして織られた「モダンタータン」です、
この時は、優しい茶系に綺麗な青が入ったものが欲しくて頼んだものです、スーツにも応用できるものをと、着こなしやすいように青が遠目で縦ストライプに見えるように、横のプレイドとは強弱をつけてあります、




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「スコットランド製 スペシャルウーブン モダンタータン」

これも、上と同じく同時期にスコットランドで織らせた「モダン タータン」です、
こちらの方が、カントリータッチです、柔らかい茶の色だしが秀逸で仕立てたとき良くなじむと思います、ここではオーバープレイドに少し凝ってみました、オフホワイトと豊かなイエローを少し古めかしい「斜線」のダブルプレイドにしてあります、






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「スコットランド製 ビンテージ アンシエント ダンシングタータン」

これは、珍しい「古代タータン」です、この生地を織ったスコットランド最古のミルのひとつ「マッカサー オブ ハミルトン」もいまはありません、
このミルがもっていたタータンのアーカイブは膨大でしたが、これはそのなかでも珍しいものを織ってもらったものです、
タータンは、探っていくと、パープルやピンクを使ったモダンに見えるものや、渋いブラウンの濃淡の、プレイドスーツに素敵だろうなと思わせるのものなど、発見はつきません、実際、我々が知るものは極く一部にすぎなくて、クラッシックパターンのアーカイブとしては興味深く、見直すべきものだと思います、
この「古代タータン」はトラウザーズ(タータントリューズ)に仕立てセーターやブレザーにあわせると、ちょっと印象的なクラッシックに映ると思います、






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「スコットランド製 ビンテージ アンシエント ダンシングタータン」

これも、「マッカサー オブ ハミルトン」で織られた「古代タータン」です、
細かいプレイドの組み合わせと、ベージュ、ブラック、ブラウンという色合いが落ち着いていて、ハウンドツースと似たクラッシックさがあります、
事実、これを手にいれたときは、白黒のハウンドツースに少し飽きた時期で、その永年続く「クラッシックさ」をもった、別のパターンがないか探していた時期です、
このクラッシックなミニタータンは、クラッシックなジャケットに仕立てると、ハウンドツーズ同様、「永い友人」になってくれそうな気がしました、
落ち着いて見えて、個性的で、黒のかすれたオーバープレイドの具合がクラッシックにさせているのだと思います、なかなか味わい深いタータンです、

ジャケットとウエストコートを仕立てて、ホワイトフランネルに合わせると贅沢なスポーツスタイルで魅惑的だと思います、




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「 モダン イアースキン タータン」

「イアースキン タータン」は、柄の大小を変更して、割と幅広く使われているのではないでしょうか、タータンのなかでも、ブラック&ホワイトで、着こなしやすい柄だと思います、
常にモダンさを感じさせるタータンで、カジュアルトラウザーズに仕立てると年間を通じて重宝すると思います、






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by tailorrikughi | 2008-11-11 21:26 | 8.Tartan Trews

Column / サー・イーデンとピークドラペルスーツ



TAILOR CLASSIC   
21st Century
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Corrrect Style & Timeless Quarity
Style
Column |  サー イーデンとピークドラペルスーツ





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或る日、まだ若かった私は、
数枚の写真をもって馴染みのテーラーに出向いた、

それは、銀幕のスターなどではなく、
或る魅力的な姿をした政治家を映したものだった、

私は、その政治家が愛用していた、
ピークドラペルのシングルの三つ揃いに
魅力を感じていたのだ、

その写真をみつめて、
テーラーのお爺さんは、不思議に
複雑な表情をみせた、
「、、サー・イーデン、、、」

お爺さんが呟いたとおり、
その政治家の名は、
サー・アンソニー・イーデン エイヴォン伯爵、
「悲劇」の政治家だった、




b0151357_381366.jpgこのスタイリッシュな政治家は、
絵に描いたような英国保守党のそれの履歴を持っている、

貴族として生まれ、イートン、オクスフォードとすすみ、
チャーチルの「後継者」として外務大臣を3期勤める、
「エリート」なのだ、加えて華やかなスター性に恵まれていた、

人望も厚く、チャーチル引退後、総選挙で圧倒的な勝利の末、
首相の座につく、

誰もが、「大」英「帝国」の首相として合いふさわしい人物と、
認め、嘱望していた、

イーデンの不幸は、50年代半ばに入り、時、すでに、
世界構造が大きく変わろうとしていた時代にあったことで、
加えて、それをいまだ「大」と「帝国」のついたテクストで、
乗り切ろうとしたコトにある、
イーデンにはそのキャリアからも自信があったのだと思う、

優れた人ではあったが、「革新」の人ではなかった、

こうして、イーデンは「スエズ危機」で致命的な躓きをする、


b0151357_382624.jpgスエズ運河の国有化をめぐる、
その後の世界構造を決定していく駆け引きのなかで、
「大」英「帝国」は屈辱的な敗北を蒙る、
それは、「スターリング圏」の屋台骨をゆるがすほどのものだった、

その過程で画策されたイスラエルとの
幼稚な謀議が明るみにさらされるに至って、
輝かしいはずのイーデンの政治生命も、
恥辱の果てに断たれることになる、

その後、英国は急速に影響力を失い、この痛手は
「スエズシンドローム」ともいえるコンプレックスを英国に残す、
サッチャーやブレアの強行路線は、この呪縛の複雑な裏返しにある


もともと健康に問題のあったイーデンは、
激務に追われ、それを悪化させ、理性をも失っていく、
その退任の挨拶には、英国民も複雑な想いを抱いたろう、
ある意味では、郷愁さそう「大英帝国」の矜持を守ろうとした
最後の政治家といえるのだろうか、
ただ、現代では稀な古の優雅なスタイルをもつ姿の良い人だった、




いかにもイギリスらしいジンジャービスケットと、おじいさんが、淹れてくれた紅茶をミルクをいれないで(ジンジャービスケットには、ミルクを入れない方があっていると信じている)、愉しみながら、そんな話をしていた、

窓の外は、夏の残り香も失せて、このところ急速に冷え込んでいて空気も感触が違ってきてる、ハムステッドにはもう落ち葉が目立ちはじめていた、

おじいさんとつくった、ピークドラペルのスーツは、エスクワイアのフェロウズが描くそれと違って、古の英国を匂わせる、少しフィットさせた独特のシルエットだった、

それは、多分、おじいさんのかつての英国への矜持だったのかもしれない、














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by tailorrikughi | 2008-11-09 03:19 | ■Column(New)

The Collection / 9. Vintage Tweed Overcoat

TAILOR CLASSIC   
21st Century
Idea







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「 ビンテージ ツイード (トラベル) コート」


ごく気軽に、旅行に、休日にと、いつでも、どこでも、寒い季節の男のもうひとつの「暖かい伴侶」として文句も云わずつきあってくれるものに、「ツイードコート」があります、これは別名トラベルコートととも呼ばれ、通常、美しい色のリアルシェットランドとか、プレイドツイードで仕立てられます、


仕立て方も、ラグランスリーブや、前だけセットインスリーブにみえるものなど巧妙にライニングを外した柔らかく、軽い仕立てになっていて(通常はラグランスリーブで、衿はステンカラーを少し大振りにしたもの、取り外しのできるストームタブがついていたりします)、気軽な散歩気分でセーターの上に羽織るもよし、ジャケットの上に羽織ってもよしという便利なものです、

シンプルですが、クラッシックなものは絶妙のバランスで趣き深く、かえってそれがゆえに永く愛せます、


このコートのポイントは、とにかく「美しいツイード」で仕立てることにあります、ツイードが選ばれるのは、防寒性やタフなだけでなく油分を含んでいるので小雨程度なら雨粒もはじいてしまう、頼りになる素材というところにあります、


そして、ツイードの「美しさを愉しむ」ためには、フルスケールのトラベルコートは最適だと思います、コートの場合、ちょっとハデかなと思う大柄や色のものでも不思議に納まってしまいます、丹精こめて織られた生地を愉しむ気分で、チャレンジして下さい、

英国の田舎などでは、ちょっとした雨ぐらいでは傘をささないですね、ツイードのジャケットやコートの衿を立てるだけで、平気で歩いていきます、そして、それらは何年も着込んだものです、ツイードとはそういうものです、
このコートも生涯の「友人」となるべきもので、帽子とこの「ツイードコート」で都会のアスファルトを草原にみたてて颯爽と闊歩してください、



1950年代から60年代のビンテージツイード、実際には驚くほどのバリエーションがあります、ここでは、そのさわりをご紹介します、「美しいツイード」を探っていきましょう、貴方が思っている以上に奥深い世界です、




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「60年代~ ビンテージツイード ブルータータン」

60年代のコート用に織られた美しい青を基調としたタータンプレイドです、タイトに織られていますが、リアルシェットランドなので軽い仕上がりになっています、同時期に織られたこのミルのオーバーコート地も、いくつかありますが、どれも柔らかく軽く、しかしビンテージらしいボリューム感があり、織機の違いもあるのか今のものとは表情が異なります、

一種、手織りに近い温かみのある織りといえるかもしません、

このタータンプレイドは、なにより色が美しい、良く見ると全体が綾織になっていて、意外に複雑に様々な色が織り込まれています、


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「60年代~ ビンテージツイード ブラックウオッチ」

これも60年代のオーバーコート用に織られたもので、上のものと同時期のものです、なかでもこれは最も厚手のものですが、軽い、味わい深いブラックウオッチです、

仕立てると、この量感は、温かみのあるそして存在感のある独特な表情を見せると思います、


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「60年代~ ビンテージ ブルー ツイード 」

これもリアルシェットランドですが、上とは別のミルのものです、ジャケットでもいける重さだと思います、ブルーと書きましたが、正確にいうとグレーの濃淡に青が複雑に織り込まれています、

こういう織りも今はみかけることが少なくなりました、味のある織りです、




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「60年代~ ビンテージ変わりストライプ ツイード 」

これはかなり珍しいストライプツイードです、これもリアルシェットランドでタイトに織られています、上の生地とは別のミルのものです、このミルのものは、織りと柄にかなり拘っていて美しいものが多くあります、

これも良く見ると、太めのストライプの中が綾織になっていて、地のブラウンとのストライプになっています、このおかげで、大胆なこの柄も、仕立て上がりでは意外な落ち着きを見せます、

それにしても、このストライプは他にみかけたことがありません、


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「 ビンテージ  スコッテイシュ ツイード 」

いかにも英国カントリーらしいオーバープレイドです、いまのものと違って味わいがあるのは、地のトープ(うす茶の地色)の色だしでしょう、良く見ると複雑に色を織り込んでいます、

この気遣いが、仕立てたときに味と、しっとり、服としてなじむ秘密だと思います、この時期のビンテージの仕事の優れたところは、仕立てたときに「なじむ」工夫だと思います、実際に、少しハデかなと思ったものでも、仕立てると意外に納まって映ります、

この差が「本物のクラッシック」としての「服そのものの味わい」に現れてくるのだと、常々実感しています、



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「 ビンテージ  リアルシェットランド ツイード ブルー変わりプレイド 」

非常に美しい「青」です、これをコートに仕立てると魅きつけられると思います、
私は、常々、「ツイード」は、織り職人たちによる「絵画」だと思っていますが、これはその秀逸な例だと思います、

織りも凝っています、ちょっとグレナカートを思わせる、よく見ると意外な色が織り込まれていて見飽きません、



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「 ビンテージ  リアルシェットランド ツイード 変わりグレナカート」

これも凝った織りのリアルシェットランドです、極めてタイトに織られています、

一種のグレナカートになっているのですが、プレイドが交差するハウンドツースのところで織りが変化していて織りに立体感が現れます、オーバープレイドのストライプも綾織りが加えられています、しかも良く見ると地も綾織になっていって、様々な色糸が織り込まれ陰影をつけています、

これは色違いもあって、そちらはカントリーラボットグリーンと煉瓦色のグレナカートになっています、そちらの方が着こなしやすいかもしれません、

凝った生地です、


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「 ビンテージ  スコテイッシュ ツイード 」

肉厚のタイトに織られたスコッテイシュツイードです、なにより、縦に入った紺のストライプが大胆です、
フルスケールで見ると、濃淡の質感のある茶に、紺のはっきりしたオーバープレイドで、「ウインザー公」的なダンデイズムがあります、

スーツとしても面白いかなと思います、( 「Plaid suits」のダンデイたちの着こなしをご参照下さい)

個性的ですが、洒落てみえます、とくにこの生地は質感に奥行きがあって、地にストライプの紺が微かにミックスされていて、それにオレンジの細いオーバープレイド、紺のオーバープレイドも、縦は力強く、横はストライプ状になっていて強弱が効いています、

割りと、魅かれるところがあります、地に紺が振りかけられたようにミックスされているのが、全体のトーンを統一しています、



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「 ビンテージ  スコッテイシュ ツイード 」

トープブラウンに、渋いエンジとパープルのオーバープレイドです、どうも、渋いツイードにパープルのプレイドというのが好みなんですね、

実際、ツイードの野趣に、貴族的なパープルというのは仕立てると魅力的です、

タイトに織られたスコテイッシュツイードですが、スポーツコートや、スーツでもスンナリ納まると思います、





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「 ビンテージ  リアルシェットランド ツイード ベビーブルー」

綺麗なベビーブルー(ペイルブルー)のシェトランドツイード(色が正確にでるかなと思って、カメラでなくスキャンしてみましたが、やはり自然光が一番でした、実物は実に綺麗な色と風合いです)です、

ビンテージツイードは、色や柄の面白さとともに、やはり織りの趣き(実際、その織りのバリエーションも凄まじい)があります、このツイードもいかにもその時代らしい、ペイルブルーとオフホワイトをハウンドツースを思わせる変わり織りにしています、そこに、サブデュード(微かな、目立たない)のエンジと、良く見ないとわからないのですが、一段明るいブルーのオーバープレイドが入っています、




まだまだ、ご紹介したいものはあるのですが、永遠に続きそうです、
ご興味の或る方は、「迷宮」への入り口は下記の通りです、
お手数ですが、ご予約のうえお越し下さい、愉しくさ迷いましょう、



「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp
(appointment required 要予約)


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by tailorrikughi | 2008-11-06 00:45 | 9.ツイードovercoating