<   2008年 09月 ( 6 )   > この月の画像一覧

The Collection / 6.「Cashmere」


TAILOR CLASSIC   




b0151357_11333274.jpg




「CASHMERE」


文字通り、「Cash」mereというぐらい、カシミアは高価です、カシミアは何故、高いのか、カシミアはどのように織られるのか、それについてはイヤというほど文献があるので、ここではそれは省きます、

問題は、優れたカシミアとそうでないカシミアがあるということです、

実は、年々、良いカシミアに出会うことは難しくなっています、
「カシミアとモヘアは昔の方が良かった」、古くからのテーラーさんは必ず懐かしげにため息をつきます、良いテーラーほど生地好きなのです、私が知っているテーラーのおじさんは、大昔のヴィクーニュアと、「経営者が変わる前」のウエインシールの何とかと言う綾織のカシミアを「非売品」として店に並べています、絶対に売らないのです、見せるだけ(!)、これは冗談ではなく本当の話です、その気持ち痛いほど分かります、売ってしまえば二度とお目にかかれない、良いカシミアはそれほど今と昔では質に開きがあります、加工技術は進んだのでしょうが、カシミアの質は難しくなり、それにもかかわらず値段は上がっていきます、良いものを知っているテーラーほど、それを苦々しく思っているものはいないでしょう、


優れたカシミアは、軽く、暖かいという機能だけでなく、男の生涯にわたってある種の「役割」を担ってくれます、

先ず、このカシミアで仕立てられたコートを着ていくだけで、シャンゼリゼ劇場の上にある某レストランのように扱いが格段に良くなるとか、或いは、同じ通りにある某高級ホテルのように、フロントのホテルマンが機械的に言葉尻につける「、、、sir」という発音が幾分思いやりを込めて発音されるようになるとか、、、そういった日常の変化を楽しめるだけでなく、やはり周囲の尊敬と羨望、そして嫉妬の混じった視線を集めることでしょう、被害も少々あります、とにかくやたらと触られること、とくに女性はカシミアには目がなく、本能的に手をのばしてきます、もちろん貴方としては、ここは鷹揚に目をつむるべきです、

では、そうではないカシミアでコートを仕立ててしまった場合、これは悲惨です、某高級ホテルのフロントマンは商売柄、こうした違いには結構、目が利きます、「高級」素材の安っぽいものほど品性を疑われやすいものはありません、底の浅い見栄っ張り、本当の上質を知らないエセ紳士、おぞましい言葉の数々が彼の頭の中を覗くと渦巻いています、むしろ良いツイードのコートでも仕立てた方が良かったぐらいです、

そういう危険を避けるために、優れたカシミアとそうでないものとを、どう判別するのか、
まず、高価なものを選ぶべきです、シンプルです、なぜなら良くないカシミアが高く売られていることはありますが、優れたカシミアが安く売られることはメッタにないからです、

値段以外にどうしてもご自分で判断できるようになりたいという方に、極上のものを見分ける基本的な方法をお教えするなら、触ってどの方向にもすべらかどうかを確かめることです、生地には「目」がありますから、通常はひとつの方向に対してすべらかなはずです、それが四方、どの方向にもしなやかで、すべらかならばそれはかなり質が良いといえます、よく目が詰まって織られていることと、ウエイトがあり肉厚であることは云うまでもありません、しかし、ここまでが言葉で説明できる限界です、本当に大切なのは、糸の良さとかタッチを感じ取ることです、そして良い品物を数多く見ることです、それにはいっぱい失敗を重ねなければなりません、、、そう、私のように。  ■  TAILOR CLASSIC   









b0151357_1136440.jpg英国製「ムーアハウス&ブルック  カシミア&チンチラ」 

いまはないムーアハウス&ブルックのビンテージのカシミア&チンチラです、これは、以前書いた同じムーアハウスのピュアキャメルヘアーと同様に、ショックを受けた一枚です、
迷ったのですが、もう残り少なくなったので、ここに書き残しておこうと思います、

クラッシックなコート地専門のミルが、良い糸に恵まれて、その実力を本気で出したらどんなものが出来上がるかという見本のような生地です、

先ず、余計な加工がないです、極めてタイトに織られたクラッシックなコート地の「正直な」織り方です、わざとらしい光沢をだすこともしていません。
しかし、それにもかかわらず、しなやかで、柔らかく、前述したようにどこを触っても、滑らかです、色もトップグレイでエレガントです、云いたいことは、これで全てです、つまり、これは言い切ってしまえる質のある稀な生地です、




b0151357_081286.jpg英国製「スパンピュアカシミア ロイアルカシミア」

コッパーゴールドに青が織り込まれた独特の色だしの(写真は色が現れていません、後日、取り直します)スパンカシミアです、
ヨークシャアの秘密の場所で、「今日は見せたいものがある」といわれて出てきたのが、このスパンカシミアです、耳には「Royal Pure Cashmere」と金文字で書かれていました、大層な名前です、比較的、新しい生地です、

ただ、触ってみて、その名前を許そうと思いました、

スパンカシミア自体には、正直、それほど興味がありません、色々見ましたが、確かにタッチは良いのですが、わざわざカシミアにする必要があるのかなとも思います、

ただ、これだけはタッチが群を抜いていました、文字通り手の中で溶けていくようなタッチ、しかも、極めてタイトに織られ、ウエイトも或る程度あります、光沢がありますが、それは糸の良さとタイトに織られたことによる光沢です、わざとらしい、加工した光沢ではありません、

「糸(原毛)が違う、、」二人同時に呟きました、これはイタリア製などと明らかに違う、本物の繊維の長い、非常に上質なカシミアの毛なのです、

通常カシミアは、その産毛だけをとりますから繊維の長さは当然、短くなります、紡毛生地です、ですから繊維の長いウールよりも弱くなります、ただ稀少な繊維の長い産毛を使ったのがウーステッドカシミア=スパンカシミア、梳毛カシミアです、
ただ、それもピンキリで、ごまかしも多く、「わざわざカシミアにする必要があるのか」というのは、しっかりしたスーパー150‘s&カシミアで充分賄える質のものが多いし、その方がまだ丈夫だと思えるからです、つまり名だけの贅沢なように思えるからです、

ただ、これは違う次元の質があります、

しかし、これでスーツまで仕立てる必要はないように思います、ジャケットで充分で、そこで止めておくのが良いと思います、








b0151357_23553355.jpg英国製「ピュアカシミア ハウンドツース」(1970年代)

これは、デザインが好ましいと思います、少しだけ大柄のベージュと黒のハウンドツースです、(これも写真では色がよくでていません、写真はクローズアップでとっているので見た感じが大柄ですが、実物はそれほどでもありません)

ウインザー公が、こういうハウンドツースで、ピークドラペル、シングルのラグランコートをキュナードラインの船上で着ている写真が残っています、少しAラインのその姿はリラックスしたなかにも味のある贅沢さが伝わってきます、

クラッシックな英国のカシミアの織りです、私は、変に光沢をつけたカシミアはどうも好きになれません、これは「正直な」織りで、カシミアの味わいと良さがでています、







b0151357_220226.jpg英国製「ムーアハウス&ブルック  ピュアカシミア ダークキャメル」
 
いかにも、クラッシックなカシミアコートの王道をいくダークキャメルのムーアハウスです、

英国のクラッシックなカシミアコート地は、わざとらしい光沢をつけず、むしろ織りをタイトに、ウエイトのある、触ったときにその質の違いを雄弁に語るものを本来としています、

ですから、イタリア製のように見た目でテカテカしているものを期待すると肩すかしをくいます、
しかし、このクラッシックカシミアは一生使うと、その差がでてくるのです、テカテカしたものは、折り目がなかなか消えず、場合によってはよく擦れる部分は白く光沢が消える場合もあります、ひどいものは、長年で毛玉をつくったりします、

カシミアのコートは「ロングライフ」だと、良いテーラーは言います、カシミアだけでなく、コートは生涯着続ける、ということを前提としたコート地を織っていたのが、ムーアハウスです、「地のし」をしたテーラーが云っていました、これは確かに目が詰まっている、縮みがないと、








b0151357_16274111.jpgスコットランド製「六義スペシャルウーブン ピュアカシミア フェアアイズル」

或る朝、鏡の前で身支度をしていて、ウエストコートを羽織ろうとした時、ふと良いアイデアがひらめきました、

フェアアイズル柄のスリップオーバー(ニットベスト)というのはあるけれど、フェアアイズル柄の生地というのはないぞ、と、それでスーツを仕立てるのは少しばかり(かなり)派手だけど、ラペル付きのウエストコートを仕立てさせたらニットよりスリークで、ちょっとしたものになるのではないかと、、、イメージはすでに頭のなかに浮かんでいます、さらに考えながらキッチンに行って、もう一杯コーヒを飲んで、、しかも上等のカシミアならどうだ、、、

思い立ったら吉日、私はその日のうちにスコットランドの或るミルに連絡をとり、週明けのアポイントメントを取りました、

このミルは、いわば英国のタータンの総本山、何世紀にもわたって、由緒正しきタータンはここで織られたといっても過言ではありません、タータンそのものも、各家に応じて何千という(いったい何種類あるのか)種類があるのはもちろん、ダンシングタータン、アンシエントタータンとそのバリエーションも数知れません、そして、それらは、ひとつひとつ名前がつけられ、このミルのアーカイブとして残っているのです、こうなると、もう「博物館」です、

それはともかく、何故、私がこのミルに白羽の矢を立てたかというと、このミルでは「パーソナル タータン」を創ってくれる事を知っていたからです、つまり、伝来のタータンを持たない人でも、オリジナルの、その人だけのタータンを創作してくれるのです、

私の友人も、そのひとりで、彼の場合はちょっと不純で、買ったばかりのクルーザー(巨大です)の内装を世界唯一のものにする(つまり、女の子、或いは友人に自慢したい)がために、「パーソナル タータン」を思いついたのです、彼は、カーテン、ソファは云うに及ばず、ルームシューズ、ナイトガウンまでを、その「自分の」タータン模様で埋め尽くしてご満悦です、しかし、彼は純粋のギリシア人です、タータンにも国籍は今や関係ないようです、


この「パーソナル タータン」、本人の色などの好みは一応、聞くらしいのですが、製作過程において厳密にそのアーカイブと照らし合わせ、絶対にデザインがかぶらないように考慮されているとか、さすがはタータンの総本山、そして、新たに生まれた、そのタータンには本人の名が付けられ「新種」としてアーカイブに保存されるといいます、



私としては、タータンという色も豊富な生地を織れるのだから、フェアアイズルもできるだろうと思いついたわけです、

しかし、先染めの何色ものカシミアの糸を用意することは難しいらしく、また、私の要望もかなり無茶に厳しく、とりあえずホワイトカシミアと生成りのカシミアをベースにして織ってみようということになりました、

柄の作成にあたっては、独自のフェアアイズル柄をと、このミルの有望なデザイナー、ロイヤル・カレッジ・オブ・アーツでテキスタイルを学んだという若い女性が、私のメモをもとにデザインをしてくれました、一度、彼女の家にお茶に招いてもらいましたが、部屋には北欧の家具を思わせる木製の手織り織機があり、いまも時間が空いたときはアーテイな作品を織るのが楽しみとか、こうした人がいる英国のテキスタイル界は奥が深いなと思いました、

できあがったフェアアイズルカシミアは、意外(?)に糸も良く密に織られていて、タッチもすべらかで、何より、その柄がふくよかなイメージをもっています、生成りとベージュにしたのも、かえってイヤ味がなくて成功でした、

オッドベストとしても、ネイビーをはじめどんなものがきても、しっくり納まります、しかも優しく暖かい、いかにもスコットランドの大地を思わせる優しいカシミアができました、おまけに良い思い出もつくれました、





b0151357_2020203.jpgスコットランド製「ピュアカシミア 変わりハウンドツース」

非常に綺麗な生地です、それは、かなりタイトに織られているせいだと思います、
紡毛生地ですから、もう少し、もたっとするものなのですが、こうした生地の中では表面のすべらかさが際立っています、一見、糸の繊維が長いスパンカシミアのように思わせます

柄は、スモーキーなハウンドツースの変わり柄です、いかにも英国のパターンですが、色あわせがシックで、どこか「パリの英国好み」を匂わせます、これで、クラッシックな30年代のイングリッシュドレープの三つ揃いを仕立ててみたらどうかなと夢想します、デイテールはカントリーテイストで、シャツを地の薄いグレーで、靴をハウンドツースのグレーの濃い方に合わせたデイアスキンで仕立てて、カシミアのイエローのタイを絞める、少し贅沢な組み合わせで、シックなパリの英国好みのカントリースタイルを愉しんでみる、、、




BACK≪ ≫NEXT The Collection / Vintage Design  






「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 要予約)

無断転載、画像の無断複写を禁じます。
copyright 2008 Ryuichi Hanakawa





by tailorrikughi | 2008-09-28 11:34 | 6.「Cashmere」

The Collection / 5. Vintage Design

TAILOR CLASSIC   



b0151357_3502916.jpg







「 VINTAGE DESIGN / 好事家のための一着」


ここで、ご紹介するのは上級者のための一着です。

といっても、スーパー200`sやパシュミナといったものではありません、

良い布をハンテイングしていくと、時に範疇を越えた「変わった織りや柄」に出会うことがあります、マーケテイングの世の中になって、番手の高さだけを売りにしているような今では考えられませんが、良い時代のミルには創造力がありました、

私は、基本的にはクラッシックをつき詰めたいのですが、質の良い、忘れがたいものに限って、そうしたチャレンジングな生地をコレクションしています。







b0151357_491168.jpg英国製 「ブルーピンストライプ vintage super 80`s」(1960年代~70年代)

60年代、70年代のスーパー70‘s、80`sというのは、いまでいうスーパー150‘sなどに匹敵する高級細番手生地でした。

違うのは、当時は今のような高速織機はありませんから、従来の織機で織られていたということです、そこに良さと意味があるように思います、
いまではスーパー100‘sなど当たり前となっていますが、その当時を知る日本のテーラー氏がいうには、世の中にはこんな生地もあるのかと驚いたといいます。

こうした、当時のスーパー70‘s、80‘s(80‘sまでで、100‘sというのは見かけませんでした)が、それ以降の高番手の生地へ向かうきっかけとなったのかどうかは定かではありませんが、生地としてみると、タイトに織られていて、腰とハリがあるのに加えて、確かにしなやかさと光沢があり、他のものと違うように思えます、

デザインも「仕事着(ビジネス)」という範疇を越えた、「趣味性」のあるデザインのものが多くみられます、つまり、趣味のあるスーツを着る余裕のある層を対象とした、やはり高級生地だったのでしょう、

例えば、このピンストライプ、通常のものよりピンの直径が少し大振りで、存在感があります、ピンストライプの色も綺麗なスカイブルーです、このスカイブルーが効いています、

このピンストライプは、ダブルに仕立てるのも良いのですが、納まりすぎるようにも思えます、むしろ優雅ななで肩のクラッシックな2ボタンのシングル三つ揃い、などにしたとき独特の輝きを放つように思います、






b0151357_12581217.jpg英国製「ビンテージ スーパー70‘s ウーステイッド」(wooven by Yates 1960`s)

これも、ビンテージの高級細番手生地で、「Yates」というミルによって織られたsuper70`sです、

デザインンが変わっていて、ところどころ消え入りそうな「格子柄」になっています、私はこれを「チョーク格子」と勝手に呼んでいます、消え入りそうなというのが味わいです、チョークと同様に、品の良い、育ちの良さを感じさせる柄です、

生地を探していくと、ある種自分自身の判断基準が生まれてきます、私はそれを「表情が良い」と言っていますが、それは単なるデザインではなく、むしろ、糸の良さ、織りの正直さから生まれる、「質」といえます、言葉で正しく伝えるのは難しいのですが、「良い生地」というのがあるのです、それは、長年着ていて飽きないもの、むしろ愛着を感じ始めるものというのが判断のポイントかもしれません。

いまの生地に何故惹かれないのかと考えると、この「良い生地」という基準が番手とか柔らかいとか、軽いとか、底が「浅い」ように思うのです、

「良い生地」は、番手が高くなくとも光沢としなやかさをもった「良い糸」のものがあり、柔らかさ、しなやかさというのは、単にフワフワしていることではありません、

この生地も、そうした「表情」をもっています、しなやかですが、しっかりタイトに織られ、当時の高級細番手としての光沢があって、他とは違います、

そして、着続けることでそれが生きてくると思います。大切で、愛しい一着になっていく、それが、今の生地と違うところです。






b0151357_474690.jpg英国製 「変わりカントリープレイド 」(1960年代~70年代)

ウインザー公の今に残る写真、或いは公の遺品を集めたサザビーズのオークションカタログを探ってみると、プレイドスーツでも、クラッシックなチェックではなくてドットで織られた、少しモダンなプレイドのものをしばしば着ていることに気づきます、

それはクラッシックな英国風にみえて、良く見るとアメリカ風ともいえるモダンなデザインで、これを公は、カントリースーツに仕立てて、ニットヴェストと組み合わせたりしています、

趣深い、いかにも公らしいプレイドですが、何故か70年代以降、このデザインは消えていきます、そして今は全く見ることがありません、

当時は、公だけでなく好事家の間でも好まれたらしく、ダンデイたちが着ているのを古い写真で見かけたりします、

このデザインを得意としていたのが「Peter Levell」というミルです、(「Classic Tailoring」でご紹介した、ダブル4ボタンのプレイドスーツも、このミルのビンテージ生地で仕立てられています。)このミルの生地も、久しく見ていません、

味わい深いブラック&ホワイトのこのプレイドは、シングル2ボタンのカントリースーツに仕立てて、ウインザー公のようにニットヴェスト(レモンイエローとか)を合わせて、少し気崩した優雅さを秋に愉しむのも一興だと思います。かなりコレクタブルな一着になるのではないでしょうか。







b0151357_4123046.jpg英国製 「ドミュール CASHALUX」(1950年代~60年代)

これは、50年代の古い英国製ドミュールです、気になるのは生地の「耳」にある「CASHALUX」という文字です、生地の質の高さを示す「星」もついています、

CASHALUXとうのは、ウーステッドとカシミアを混ぜたという意味で、今でこそ当たり前になっていますが、これは、その先がけとなった生地だそうです、いったい、何%のカシミアが混ざっているのかは、正確には分かりません。
問題は、このデザインです、最初、広げてみたとき、地味ともいえるし、古臭いともいえるし、「CASHALUX」という文字には魅かれたのですが、正直にいって質はともかく、このデザインをどう捉えるかに迷いました、

英国のカントリーデザインの生地には、ラバットグリーンとか微かに色が混じっているものなど渋いものがありますが、これはそれとは少し違います、
b0151357_1843721.jpg結局、買って帰って、机の上に広げて観察してみると、重さは300gぐらいで思ったより軽め、タッチは、いわばスパンカシミアを「この野郎」というぐらい古い低速織機でタイトに織った感じ、非常になめらかで、タッチもしなやかなくせに、手にタイトに織られた「硬さ」が残る、質としては、とても面白い、触ったことがないもので、それは気に入りました。

問題のデザインは、良く見るとハ刺しのように、朱の短い織りが入り、興味深いのは、角度でシャドウストライプのように、ラインが現れることです、(写真の左端辺りにそれが少し見えます)
「星」をつけただけあって、思った以上に凝った生地です、

鏡に向かって身体に布を当ててみると、赤のハ刺しが意外に効いていて、かつ、シャドウのストライプが動きに応じて現れて、思った以上に存在感があります、

ここで、やはり思うのは織機の違いとか「正直な」織りというものです、最初にご紹介した昔の細番手のもの、そしてこのカシミア、どちらも古い織機でタイトに織られたというのが効いています、こういうものを、私たちの時代は失ったということです、

さて、この生地で何を仕立てるか、胸フラップと箱ポケットがついた凝ったカントリージャケット、いっそ、ブッシュジャケットかサファリ風のハンテイングコート、、、正直、まだ、これだというのが浮かんでいません、





b0151357_2030048.jpg日本製 「変わりストライプ」(1970年代?)


六義では珍しい日本製の生地です。いまはない藤井毛織という日本のミルのものです。不思議な経緯で手にいれたもので、生地も変わっています、多分70年代のものだと思います。

柄もそうですが、「耳」にある文字に惹かれました、「Fujii Keori -James Drummond & Sons Ltd.」とダブルネームになっていることと、写真では隠れていますが、「Airship Queenland Vivo」という表記です。


James Drummond & Sons Ltd.というのは、英国ヨークシャアのブラッドフォードのミルで、経営権はどこかに移ったでしょうが、いまもあると思います。19世紀末から続く、割りと古いミルだと記憶しています。
ダブルネームというのが、どういう意味だったのかは定かでありません、Made in Japanとなっているので、デザイン供給だったのかもしれません、
このダブルネームの生地は、当時、ある程度、出回っていたようです、「Airship Queenland Vivo」というのは不明です、単にQueenlandと表記されているものもありました、多分Airshipというのは、その中でも高級ラインを意味するようです、Vivoというのはラテン語(スペイン語)で「生き生きとした」という意味ですが、ここで何を意味するのかは不明です、

藤井毛織というミルは、タスマニアンウールとかカシミアで名を売ったミルです、日本のミルですから、既製服への供給など、その製品は玉石混交です、当時、このミルの最高級のカシミアと言われたものも見ましたが、確かに悪くはありませんでした、私はカシミアには厳しいので、「最高」とは一概に言えませんが、

多分、それは日本のミルの弱点だと思いますが、最高級のタスマニアンウールを買って、それで織っても最高級にしないのですね、イギリスのミルなら、おそらく、迷わず耐久性とか一般性を無視して贅沢な織りとデザインにしてしまうのですが、そこに日本ならではの中庸の精神が働いて、最高級の糸だけど一般の受けも狙った織りにしてしまうのです、

さて、そこでこの生地です、質が良いです、しかも保存状態が極めて良く、いま出荷されたと聞いても納得できる範囲です、
先ず、確かに糸が良い、織りもタイトです、そしてタッチがしなやかです、
なにより、この一見変わった柄が、布を身体にあてて鏡を覗いてみると、思いのほか、品良く納まります、エレガントであるとさえ云えます、配色が上手いと思います、

バブル全盛の時には、この藤井毛織をはじめ日本のミルも面白いものを織っていました、惜しむらくは、小さい規模で良いから一本筋が通ったものを織り続けるという気構えのところが出なかったことです、言うは易しで、色々な事情があるのだと思いますが、、、











font size=1 color=silver >「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 要予約)


BACK≪ ≫NEXT The Collection / The Shirts  




無断転載、画像の無断複写を禁じます。
copyright 2008 Ryuichi Hanakawa






by tailorrikughi | 2008-09-25 03:51 | 5.Vintage Design

The Collection / 4. The Shirts


TAILOR CLASSIC   



b0151357_1921094.jpg







「CLASSIC SHIRTS

クラッシックな良いシャツ生地を探し出すというのは、もしかしたらスーテイング生地を探すよりも難しいかもしれません。それが、シルクのものとなると、これは今や至難の技といえるかもしれません。

それほど、シルクのクラッシックなシャツ生地は、壊滅的なのです。メーカーにも、あるにはあるのですが、男の本格的なシャツとしては頼りなく、デザインも無地が主体で、どれも満足のいくものではありませんでした。メーカーはすでに、あてになりません。

20匁のしっかりしたシルクツイル、綺麗な発色のクラッシックなストライプ、味のある織りを重ねたもの、これらは昔でさえ珍重されたものですから、今探し当てるのは努力だけではなく、運にも恵まれなければ見つけられないという有様です。



b0151357_15183959.jpgフランス製「エクリュ シルク」(probably 1950~1960)

オフホワイトというよりは、非常に上品な表情を持つエクリュのシルクです。エクリュは、ドレスでもカジュアルでも活用でき、かつ上品で、ブルーや白よりも日本人に向いていると思います。
また、良いシルクに似合った色だと思います。いわば、シルクシャツの王道ですね。
このフランスのエクリュは、多分50年代、60年代のものだと思います。(店主はもっと古いようなことをいっていましたが、)タイトに織られて、すべらかで、15匁ぐらいだと思います。

シルクをシャツに仕立てて良いところは、やはりそのすべらかさで、経験値ですが、皺もコットンほど寄らないような気がします。これは、体験するとわかりますが、匁のしっかりあるシルクのシャツは滑りも良く、スーツの下に着るのには適していると思います、ストレスが違います。



b0151357_15201828.jpgイタリア製「エクリュ シルク 紋章」(年代 ?)

これは、アンテイークショップで手に入れた、年齢不詳のエクリュシルクです。面白いのは、良く見ると、小さく、とびとびにジャガードで紋章のようなものが織り込まれているところです。

質もクラッシックで、15匁ほどでしょうか、これが何の紋章なのか尋ねたのですが、不明でした。紋章の本にでも載っているのではと思ったのですが、実際には調べていません。それは、このシルクでシャツを仕立てられる方の密かな愉しみとして、謎のまま残しておきましょう。

シャツに仕立てるのに、適切な質をもっていますが、衿は無地のエクリュにしてクレリックのちょっとエドワーデイアンなラウンドカラーなどに仕立てると雰囲気があるかも知れません。

ダンデイなシルクです。



b0151357_19482311.jpg スイス製「シルク リネン エクリュ」
シルクとリネンを50%づつ混紡したエクリュです、シルクコットン、コットンリネンというのはよく見るのですが、シルクリネンというのはあまり見かけません、スーツ地ではありますが、

あらためて考えてみると、シャツに仕立てるのには、コットンリネンよりは、シルクリネンの方が理にかなっています、シルクを混ぜた方が皺になりにくく、また耐久性もでてくるからです、
これは60年代のもので、15匁ぐらいでしょうか、ピュアシルクとは違う「ナチュラル感」のある独特の光沢があり、タイを締めないで、アスコットや或いはタイなしで遊ぶ「エレガントなシャツ」に仕立てるのにも良いと思います





b0151357_19472914.jpgスイス製「ヘリンボーン ストライプ シルク」
これは、タップリと量感のあるシルクです、20匁以上あると思います。なにより、質が非常に良いと思います。織りがかわっていて、一種の細かいヘリンボーンのストライプになっています、上品な薄いビスケットベージュで、間に白のヘリンボーンがストライプになっています。

量感があるので、秋冬向きでしょう、フラノや、厚手のハイツツイスト、或いは、わざと様々な秋の色が織り込まれたツイードにあわせるのも一興だと思います。贅沢なカントリー、スポーツルックになることでしょう。





b0151357_19493484.jpgイタリア製「シルク コットン ホリゾンタルストライプ」
私は、クラッシックな「ホリゾンタルストライプ(横縞)」に魅かれるところがあります。

昔日のダンデイの多くが、胸のところだけホリゾンタルストライプに切り替えたシャツを愛用していました、バーニー・ロジャー、J.D.ビドル、、
(本当のところは、彼らは、普通のストライプをわざと、そこだけ横使いにしていたのですが、)

シャツ地で、ホリゾンタルストライプは珍しいのですが、50年代から60年代にわずかだけ作られています。単なるストライプではなく、細かいものや、この生地のように、大小のストライプが混ざったクラッシックなものは、やはり手に入りにくく、苦労させられます。

この生地は、シルク50%、コットン50%のシルクコットンで、淡いピンクとグレーのストライプ、そのストライプのあり方がクラッシックです。本当は、これで、ピュアシルクの量感のあるものを手にいれたいのですが、、、



b0151357_19554191.jpgフランス製「ブルー コットン」

チョット変わった履歴をもつコットンです、これを織ったのはリヨンのシルク専門のミルで、ごく試験的にコットンを絹と同じように紡ぎ、シルクを織る織機で織ったものです、
シルクほどの細い糸で非常にタイトに織られていて、ほとんどシルクといって良いほどの光沢を持っています、色も独特の少しグリーンがかった青(写真では分かりにくいと思います)で、これはシルク専門のミルだからこその色出しでしょう、

ただ、シャツとしては繊細な生地といえると思います、しかし、タイトにしっかり織られていてフワフワしているというわけではないのです、、、不思議な生地です、色違いで白もあります、こちらはコットンなのに妖しいシルクの光沢がより強く現れています、


b0151357_19562692.jpg英国製「ブルー シーアイランドコットン」

シーアイランドコットンは、その時代、或いはメーカーで質が異なるように思います。困ったものです。
これは、80年代以前の英国のもので、ブルーの色合い(写真ではあらわれていません、今回写真で苦労しています)と質、そして少し、玉虫になっているところが良いと思います、

非常にタイトに織られていて、シルクのような光沢があり、クラッシックなシャツ生地としてのクオリテイーがあります、私は、いくら番手が高くとも、フワフワした頼りないものは、スーツの下でもたつくので好みではありません、

タイトに目がつまって織られていて、着ると良いシルクのようにストンとドレープするようなしっかりしたクオリテイーがあるものが、結局着心地も良く、経年変化に耐えられると思うのです、


b0151357_19572351.jpg英国製「ブルースモールチェック シーアイランドコットン」

これも、80年代以前の英国のシーアイランドコットンです、

全く、私見ですが、どうも80年代を境目にして、シーアイランドコットンの質は変わったように思うのです、それとも単にメーカーでの優劣なのでしょうか、

これは、細かいブルーのチェックの、よくタイトに織られた生地です、拡大してよく見ると、チェックに少し茶がまざっているように思います、


b0151357_195885.jpgドイツ製「70年代 コットン」

私が魅かれるものに、70年代の大胆なデザインのシャツ生地があります、ただし、ただ大胆なだけでなく、優れたメーカーの良質なものに限ります、
この時代は、オルタリーナー、スイスの優秀なメーカーなども時代の要請もあり、かなり大胆なデザインを作っていました、しかし、そこはそれ、有数のメーカーですから、デザインが非常に良くできていて、質も良い糸を使いタイトに織られ光沢も申し分ありません、

私は、こうした生地を密かにコレクションしています、

この生地もそうした一枚です、ドイツのメーカーで70年代に織られたダークネイビー地に、ブルーとグリーン、少しのゴールドが混じった味のある格子柄です、質は申し分なく、タイトに織られ、しっかりしたウエイトがあり、シルクのような光沢があります、

多分、二度とこうしたメーカーが、こうした良質で大胆なデザインのものを作ることは無いと思います、リスクがありますから、今は、クラッシックで良いストライプをさえ避けているところがあります、

これらの生地の着こなしは当然難しく、どのスーツに合わせるかタイをどう組み合わせるかは、かなりクリエイテイブなセンスと「偶然の幸い」が必要です。しかし、それがイヤミなくぴったりと納まったときは、貴方だけのスタイルが生まれたということでしょう、私は、そのトライをするのが密かな愉しみです、

それでも難しかったものは、クレリックにしたり、時には、スーツの裏地にも使ったりします、



















font size=1 color=silver >「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 要予約)


The Collection / Vintage DesignBACK≪ ≫NEXT The Collection / Country (Sports)Style Collection  




無断転載、画像の無断複写を禁じます。
copyright 2008 Ryuichi Hanakawa





by tailorrikughi | 2008-09-16 19:24 | 4.Shirts Silk

Bespoke Shirts




TAILOR CLASSIC   


b0151357_8222814.jpg





美しいシャツ / シャツはアナトミーである」
シャツは一枚の布です。そこには、衿を除いて芯地も肩パッドもありません。つまり、芯地でごまかしが効かない分、人間の身体というそれぞれにクセを持った裸の立体にフィットさせるためには、かなり解剖学的なパターンづくりと、なにより「補正」を知り尽くした高い仕立て技術が必要となってきます。

正直にいうと、1960年代以降、ヨーロッパでも正しくフィットした美しいシャツを着ている人に出会うことも少なくなりました。私も、いくつかの店を訪ね歩きましたが、悪いシャツではないのですが、フィッテイング(仮縫い)の段階で、既に望むものとは違うなと感じてしまうのです。
多分、そういうシャツを知る人、創り手が少なくなったのだと思います。

フィッテイングとともに、仕立ての美しさもあります。テーラリングと同じように、シャツもその仕立てで、ずいぶん印象が違います。 ■





b0151357_23524429.jpg六義のビスポークシャツは、「シルク」の完璧な仕立てのシャツをつくるというスタンスから出発しています。

いまや、ヨーロッパでも「まともに」シルクのシャツをつくれるところは少なくなりました。私はクラッシックに仕立てられたシルクのシャツが好きです、いろいろヨーロッパ中を探し歩いたのですが、残念ながら満足できる店には出会えませんでした。それは、忘れ去られつつあるようにさえ思えます。

しかし、シルクのシャツは、1930年代までは、或る程度の紳士のために、そう珍しくなく仕立てられていたように思います。それが、扱いや、仕立ての手間などから、コットンが主流(コットンだけ)となり、その過程で、本来の「美しいシャツ」という技術も美意識も失われたように思えるのです。一度、スーツに合わせてみれば、お分かりになると思いますが、クラッシックなシルクのシャツには独特の質感があり、華やかさ、贅沢感、端正さ、適切な言葉がみつかりませんが、コットンとは次元の違うダンデイズムがあるように思います。

つまり、シャツを作るということは、先ずシルクからスタートしなければ本来の「シャツ」の美しさ、そのための「仕立て」を理解できないという想いがあるのです。

シルクのクラッシックなシャツを仕立てることができる、しっかりした技術と美意識のもとに、コットンのシャツも仕立てる、これは逆ではないように思うのです。

実際、コットンと同じようには、「シルク」は縫えません。同じハンドメイドという言葉でも、シルクを美しく仕立てあげるためには、別次元の高い技術が必要になってきます。(糸自体も当たり前ですが、シルク糸を使います、ですから六義ではコットン生地でもシルク糸を使って縫っています。)


 


b0151357_01535.jpgそして、私が望むのはシルクというだけでなく、クラッシックな仕立てのシャツです。
現在、クラッシックなシャツ自体が少なくなってもいます。それは、デイテールの「デザイン」を意味するのではなく「仕立て」そのものです。

先ず、そのために「パターン」ということを根本から見直しました。

冒頭に述べたように、シャツはアナトミーです。通常のシャツの店では、シャツというパターンに囚われているように思えて仕方がありませんでした。そこで、動きやすく、美しくフィットするという考えのもとに、「補正のコンセプト」を先ず、創り出していきました。衿のあり方、袖、ボデイのゆがみに対する補正、、、

その結果、パターンは、クライアントごとに大きく変化します、例えば、ヨークだけでなく、ボデイそのものの形も、時にして大胆なカーブを描くことがあります。多くのシャツの店が、一種のパターンオーダーに近くなっている現在、六義では、クライアントごとにパーソナルパターンをゼロから創り上げていきます。




b0151357_075278.jpgその中心となる作業が別生地による「仮縫い」です、これは、仮縫いというよりは、採寸とその時点で入念に読み取られたボデイのクセを基本とした別のもう一枚のシャツをつくるということです。

この「仮縫い用のシャツ」をもとに、立体裁断に近い作業を進めていきます。

フィッテイングとともに、仕立においても美しい形に拘っています。衿や、カフだけでなくダブルボタンのネックのカーブ、前立ての処理、すべてに美意識が宿るべきです。

そして、機能があるべきです。衿のステッチも、端ぎりぎりに手で縫われていきます。通常のシャツでは、1センチほど内側に縫われます、しかし内側にステッチがあると、ともすると衿がその分、洗濯のつどに翻ってきます。



b0151357_194282.jpgボタン穴も手で縫われることや、袖の後付など巷間、ハンドメイドの特徴としてあげられるようなことは、当然のものとして、ここでは省略します。

ハウススタイルには、フレンチカフ(ダブルカフ)の場合、曲線と直線の美しい組み合わせのカット(小丸では決してありません)、クラッシックなボタン止めのタブカラー(ラウンドとスクエア)、衿先に向かって曲線を描くセミワイドスプレッド、フレンチカフに見えるターンアップカフ、独特の持ち出しがついたカフなどがありますが、フルオーダーなのでお好みによって衿とカフなどのデザインは自由です。また、ハウススタイルでは、第一ボタンと一番下のボタン以外は比翼仕立てになっています。これは、タイを外したときにもスリークに見えるように考えたデイテールです。

また、袖周りにハンドステッチを施しています、写真ではシンプルに白糸にしていますが、生地の色にあわせて変えるのも良いと思います。






そして、シャツにおいても生地への拘りがあります。良いシルクのシャツ地を探すのには手間がかかります。このクレリックでは、60年代の細かい赤(ピンク)のホリゾンストライプ(横縞)に、20匁のオフホワイトのシルクツイルを使っています。衿は、少し変わった「ワイドスプレッド」のラウンドカラーです。

やはり、ビンテージのものが多く、また15匁から20匁(本当は20匁は欲しいところなのですが、既に生産中止となっていたりします)のウエイトを中心に揃えました。なかには、生地屋ではなく、アンテイークショップでみつけた年齢不詳のシルクもあります。

コットン生地も、70年代のオルトリーナ、80年代以前のスイスコットン、やはり80年代以前の英国のシーアイランドコットンなどを揃えています。(これらも、今後、順次紹介していきます。)
ただ、シャツ地に限っては、スイスのアルモの一部に限ってカタログ対応もしています。 ■ TAILOR CLASSIC   



Bespoke Shirts ¥50,000~
(税抜き価格、ハンドメイド、ハンドパーソナルパターン、別生地にて仮縫い付き、要予約)



b0151357_1561351.jpg

b0151357_1552523.jpg


b0151357_1564675.jpg
































「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 要予約)

BACK≪ ≫NEXT     
記事の無断転載、画像の無断複写を禁じます。
copyright 2008 Ryuichi Hanakawa




by tailorrikughi | 2008-09-12 08:23 | ■Bespoke Shirts(NEW)

Column / その名は、ジョン・ステイード、、、、


John Steed esq.,,,,



b0151357_15294165.jpg









b0151357_16243297.gifJohn Steed esq.

敬愛するジョン・ステイードさま
(esq.は、紳士の敬称、esquireの略)

私があなたを初めて見かけたのは、
まだ10歳にも満たない頃、TVのブラウン管の中でした。

時あたかも、カラー放送の始まりで、
分厚くて小ぶりな画面のなかで、
貴方は、透明人間や、はたまた電波によって凶暴化する子猫とか
やや荒唐無稽ともいえる敵と戦う英国情報部員としてご活躍でした
マザーとよばれる車椅子のでっぷり太ったエイジェントのボス、
ファーザーとよばれる盲目のスリムな女性ボス、
エマ・ピールという美人科学者のパートナー、

何が何だかわからないままに私は引き込まれ、
しかし、子供の私でも、画面から伝わってくる
「時代が変わるな」という、キラキラしたオーラーを
たしかに、感ぜずにはいられませんでした。

瞬く間に、あなたは人気者になりました。








b0151357_16524815.jpgそれから、時は流れて、
失礼ですが、私も貴方のことを忘れていました、
ところが、17,8歳の頃、
また貴方とお会いすることができました、
何の予告もなしに、再放送が始まったのです。
おかげで、気がついたときは、
数編のエピソードを見逃していました。

17,8歳といえば、お洒落に目覚める頃です、
恥ずかしい話ですが、私はその頃、古のダンデイたちに夢中でした。


b0151357_1655249.jpg私は、貴方の姿に惚れ惚れしました、
ぴったりフィットしたスーツ、細身の傘、
子供の時分には気が付かなかった英国紳士のダンデイズムが
そこにあったのです、
私は、すぐさまソーホーの古雑誌屋に駆け込み、
当時のTVガイドや、貴方の姿が映る様々を、
一抱えにして家に帰って、貴方専用のスクラップブックを作り始めました。
それほど、衝撃だったのです。

ビデオなどまだない時代です。




b0151357_16532261.jpg私は、その頃、服を頼み始めていたサビルローのテーラーに
スクラップブックを持ち込んで、
当時の服について尋ねました、
ところが、テーラー氏は
「坊ちゃん、これはサビルローのスタイルじゃないんですよ。」
「デイテールもそうですけど、このウエストから落下傘みたいに、
フレアーするシルエットは当時のフランス風なんですよ。」
そして、もっと詳しい事を知りたいならと、
ソーホーの或るテーラーを紹介してくれました、

私には英国紳士の典型と思えたそれは、
ピエール・カルダンという当時宇宙服みたいな女物を
つくっていたクチュリエの手によるものだったんですね、

太い眉をして、黒ぶちの眼鏡をかけた、
そのソーホーのテーラーのおじさんは、
60年代を現役で生き抜いた人でした、


b0151357_17104662.jpgその知識と経験たるや、溢れる滝のようで、
当時、50年代末から「The Group of Five」と呼ばれるフランスのテーラーたちによる
男の注文服のデザイン化があったこと、
ロンドンでも「Great Suits」と呼ばれる独特のスタイルがあったこと、
当時を伝える写真だけでなく実際の布や、
型紙や、服を広げて行われる私的な講義を聴くにつけ、
あなたのスーツが当時いかに、先鋭的だったのかが
分かりました。

私も、
おじさんに、スーツの上衿にシルクのベルベットを張った、
「Great Suits」を何着かつくってもらったりもしました、




それから、時はもっと流れ、今に至ります。
ジョン・ステイードさま、私はあなたのことを忘れてはいません、
多分、私だけでなく、
世界中に貴方の遺伝子はいまだ密かに受け継がれています、

時代が進めば、進むほど、かえって、忘れがたく、憧れも繰り返し生む、
60年代、ロンドンという、
キラキラしたオーラーを身に纏った
陽気でカルトなダンデイ、

その名は、ジョン・ステイード、、、、、















「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 要予約)

BACK≪ ≫NEXT  「 The Astaire   Step in the Time」   
無断転載、画像の無断複写を禁じます。
copyright 2008 Ryuichi Hanakawa


by tailorrikughi | 2008-09-06 15:51 | ■Column(New)

Classic tailoring 6. / Blue `Great Suits` with 60`s waistcoat



TAILOR CLASSIC   



b0151357_1921208.jpg

Art&ClassiC






Correct style & Timeless Quality
Style Great Suits
RIKUGHI | Bespoke Suits




b0151357_1832772.jpg Style 「Great Suits と その時代」

60年代中期あたりのロンドンで、好事家の間で愉しまれたスタイルに「Great Suits」と呼ばれる、広い肩、絞ったウエストラインというマスキュリンなスーツがあります。
これは、一種の「ダンデイ スタイル」で、もちろん最上等のテーラーでフルハンドで仕立てられた、凝ったスーツでした。

紳士としてふさわしいプロポーションとスタイルを持つものですが、ある種、「仕立ての妙味に凝る」という、いかにも好事家好みのものでした。
先ず、「最上等のテーラーで仕立てられた」という前提がつくのは、広い肩とボリュームのある胸をもち、身体に極限までフィットさせ、なおかつ矛盾のない美しいスーツをつくることは、かなり上手いテーラーでないと適わないからです。逆にいえば、好事家たちは、自分がいかに仕立ての良いスーツを着ているかをアピールするために、このスーツを好んだということです。

つまり、この時代は、紳士がそのスーツの「仕立ての上手さ、美しさ」を競った時代なのです。








b0151357_1831535.jpg Style しかも、このスーツには、「ダンデイなデイテール」をちりばめることが好まれました。
スウインギングロンドンを迎える時代のせいもあったのか、それはそれまでのクラッシックスーツには見かけない、極くパーソナルなデイテールです。
そして、そのデイテールにおいても高い仕立て技術を必要とされるものが好まれたのです。

例えば、このウエストコートの衿、継ぎ目がありません。つまり、一枚の布を切り出してラペルをつくっているのです。
そしてラペルの端、ギリギリのところには極めて細かいハンドステッチ。このハンドステッチの細かさと、精密さ、数にも拘りがあります。

そして、この袖口。(下の写真)
ワンボタンで、かつ鳥のくちばしのようなカット、これはフレアーではなく、そで先が鳥の嘴型に切り開かれているのです。

この切り開かれ袖口は、一説にはピエール・カルダンが広めたものだといわれています。カルダンは、一世を風靡したパリのテーラー「クリスチャーニ」の一番弟子で、スーツを丸ごと縫える秀でたテーラーであったことを忘れてはいけません。(クリスチャーニのアトリエは、スマルト、テッドラピドスなどを輩出した。)彼の出自は、そこにあります。

この60年代中期、カルダンはパリにあって、英国のグレートスーツに独特のデイテールを加えて、一時のメンズエレガンスを牽引しました。日本でも公開された映画「アベンジャーズ」の元になった60年代カルトTV番組「アベンジャーズ」の主人公の衣装も担当しています。極めて、仕立てが良いです。TV画面でも、その仕立ての良さが伝わってきます。師匠のクリスチャーニは、英国のフラットテーラリングに対して、独特の「立体裁断」でスーツをつくる名手でしたからね。このTV番組でみせるスーツのフィッテイングの良さは、「立体裁断」にその秘密があったのかもしれません。



b0151357_1832488.jpg Style このスーツに合わせるウエストコートも独特のシェイプのものを用意しました。裾の前で斜めに合わさるラインのために、ボタンフロントには独特のカットが施されています。
そして、ボタンも通常よりひとつ多い7つボタン。

この生地は、英国製のスーパー140‘sのウーステッドに5%のカシミアが混ざったコンポジションで、よく見ると様々な色が混じった少し玉虫がかった蒼をしています。

そして、スーツの細めのラペルは、写真でもお分かりのように、英国のこの時代(60年代)のノッチドラペルというよりは、わざとアメリカの50年代の匂いにしてあります。

クラッシックテーラリングに、そのクラッシックさを少し崩すように、良き時代のアメリカの匂い。これが、この独特な蒼には似つかわしいように思います。




b0151357_18313666.jpgSHIRTS 「RIKUGHI Bespoke Shirts」(クラッシックタブカラー、スイス製ライラックのシルクコットン使用、フルハンドメイド 仮縫い付き  ¥50000 税抜き本体価格)

Tie 「Vintage New Sulka Tie」 (名門SULKAの1950年代の未使用ライラッククラブタイ。  ¥16000  税抜き本体価格)

Pocket Square 「RIKUGHI Ginza 1」 (ハンドロール仕上げ ¥7800 英国製シルク使用)
















「ティラー六義」
中央区銀座一丁目21番9号
phone 03-3563-7556 e-mail bespoke@rikughi.co.jp(appointment required 要予約)

BACK≪ ≫NEXT  Dark Navy Town Suits with double breasted waistcoat   
by tailorrikughi | 2008-09-01 18:49 | 6.Great suits