カテゴリ:7.ビンテージ コーデュロイ( 1 )

The Collection / 7. Classic Cotton Corduroy & Velvet


TAILOR CLASSIC   




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「コーデュロイ と ベルベット」


クラッシックビスポークで用いられる生地は、主には羊毛や獣毛ですが、ただふたつの綿織物、「コーデユロイ」と「ベルベット」に限っては、これも、また、クラッシックな味わい深い素材として、好事家の間で愛され続けています、  

野趣あふれるコーデユロイ、妖しい光沢のあるベルベットと、同じ綿織物でありながら対象にあり、そして、共にならではの「世界観」をもっています、ウーステッドなどとは違う、この「世界観」に私たちは魅かれるのだと思います、










b0151357_2365896.jpg米国製 「ビンテージ クロンプトン コーデュロイ ペイルベージュ」

冒頭のイラストは、1934年10月の「エスクワイア」に掲載された「クロンプトン コーデユロイ」の広告です、

何故、英国製ではなく米国のコーデユロイなのか、
それは、下のウインザー公の写真に、その訳があります、

ウインザー公は、毎年ニューヨークに足繁く通い、ウオルドルフタワーの瀟洒なアパートメント28A号室というのが公のマンハッタンでの「居城」でした、公だけでなく、昔からヨーロッパ社交界とニューヨーク社交会は、持ちつ持たれつ密接な関係にあり、特に公は、王位を放棄してから、暖かく敬意をもって迎えてくれる夫人の故郷アメリカに思い入れがあったようにも思います、

公が、そのスーツのトラウザーズだけはマンハッタンのテーラー「ハリス」に仕立てさせていたのは有名な話ですが、アメリカで公は、特にふたつのお気に入りの素材に出会います、そのひとつがシアサッカー、そしてもうひとつが、英国のものに比べると、極めて軽く、しなやかで色鮮やかな「コーデユロイ」です、英国の暗く、夏のない天候のなかで育った重い生地に慣れ親しんでいた公にとって、この生地との出会いは印象的だったようで、その著述や、インタビューでも何度も触れています、考えてみれば、「軽やかさ」と「色あわせ」を身上とする公にとって、自らにふさわしい素材との出会いだったのでしょう、





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公のスーツのレファランスともいえる有名な「スワッチ ボックス」を覗くと、公が驚くほど様々な色合いのこのコーデユロイでワードローブを仕立てさせているのが分かります、(シンプルに画像で読み取れるものを数えるだけで、24色!ある、)


私は、以前からこの「アメリカ製の軽やかなコーデユロイ」というのが気になっていました、しかし、当初は、それが「クロンプトン コーデユロイ」というミルのものだということさえ知りませんでした、単にアメリカのものは、すべて軽く織られているのだろうぐらいに思っていたのです、

そこにたどり着くまでに、マンハッタンの「チップ」や今はなくなった「フィルズ」という異色のメンズショップなどを辿り、やっと、それが「クロンプトン」という当時、高級コーデユロイで一世を風靡したミルのものであることが分かったのです、このミルも、すでにありません、

そして、この「クロンプトン コーデユロイ」を手に入れるまでも長かった、結局、それもまったくの偶然でした、

さて、この「クロンプトン コーデユロイ」です、思った以上に(?)「質」があります、当初は、コーデユロイという偏見(?)があって、独特の味わいは別として、そう期待していなかったのです、

このコーデユロイは、製法の違いもあるのでしょうが、ベルベットのように見る角度で色味がかわる「光沢」があります、これは意外な喜びでした、「質」が良いのです、
確かに軽い、軽いというよりは柔らかい、糸自体も違うのかもしれません、英国のものと比べると、大げさに言えば、カシミアとツイードの違いほどタッチに差があります、これほど差があるとは思いませんでした、

コーデユロイというよりは、西独のベルベットに近いような気がします、手に入れたのは、少し黄味がかった淡いベージュ(写真よりは、黄色味があります)と、良い色合いのオリーブグリーンです、どちらも、発色が上品だと思います、そう、これはコーデユロイにしては、野趣というよりは上品なエレガンスを感じさせる生地というのが正しい印象かもしれません。

(フルビスポーク スーツ価格 ¥367,500<税込み>)





b0151357_10584024.jpg西独製 「ビンテージ ベルベット」

「西独」製です、つまり、まだベルリンの壁が厳然とあった時代のものです、
昔から、眼のきくテーラーの間では、コットンベルベットに関しては西独のミルのものが最上とされていました、
その狂いの無い正確な織り、滑らかな毛足、

しかし、いまやこのコットンベルベットもあまり見なくなりました、

コットンベルベットは、仕立て屋にとって少し手間のかかる素材です、
先ず、この生地を使って、仮縫いはできません、ウエイトの似た別生地で仮縫いを行う必要があります、それはアイロンを下手にかけてしまうと毛足が寝てしまうからです、この生地で仮縫いをしてしまうようなテーラーは信用しないことです(まずいないでしょうが、、)、実際に縫う段においても、ピンロードと呼ばれる針が飛び出た、いわば「針のむしろ」のようなものの上でアイロンを当てていきます、ズレがでないように気をつけなければなりません、神経を使います、



b0151357_11153165.jpg化繊がはいったものは問題外ですが、シルクベルベットでなく、手間のかかるコットンベルベットに拘るのは、そのしなやかにドレープしながらも、温かみのある分量感です、

これは、個人的な「偏見」ですが、シルクだとちょっとフェミニンっぽい気がするのです、紳士が生涯にわたって愛用するには、このコットンベルベットの方が味わいが出て、かつ一種のスノッブな良い意味での「気取り」があるように思えます、ちょっとノスタルジックなエレガンスとダンデイズムが匂います、

漆黒のもの(上の写真、実物はまさに光沢をもった漆のような黒です)とは別に、ちょっと変わった色も手に入れました、右の温かみのある「トープ ベージュ」です、少し懐古的なスーツに仕立てて昼の装いに用いても良いと思います、または思い切って、エドーワーデイアンなコートに仕立てることも夢想します、まさしく「one of kind」なコートになることでしょう、ベルベットという素材は、ウーステッドにはない「世界観」を持っています、






























「ティラー六義」
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by tailorrikughi | 2008-10-08 02:55 | 7.ビンテージ コーデュロイ