ビスポーク トート



TAILOR CLASSIC   
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「ビスポーク トート」
title copyright 2017 MOMOTOSEDO, Ryuichi.Hanakawa.

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私はご存じのようにハダースフィールドやスコットランドやシェットランド、果てはアウター・ヘブリディーズの島々など英国(United Kingdom)のミルが織ったヴィンテージの名作生地を集めている。それらが織られた時代は古いもので1900年代に遡る。アトリエでは実際にこれらの名作生地でクラシックスーツを仕立てている。六義のアトリエの魅力のひとつはこの年代物の名作生地が積み上げられた通称「RED ROOM」と呼ばれる地下の生地倉庫だろう。


一時はクラシックな英国生地のみに拘っていたが、いまは、「これは」と思う生地なら洋の東西、時代の後先などには拘らない。さすがに「蜘蛛の糸」の織物(蜘蛛の糸で織られた織物は絹のように薄いのに同じ重さの鉄と同様の強度をもっている。)はないが、思いもつかないものが揃っている。

例えばこのスウィンギングロンドンの名店「グラニー テイクス ア トリップ」(ミック・ジャガー、テレンス・スタンプ、ジョン・レノンらがスーツを仕立てていた店だ。)が残した「名物裂れ」も自慢の一枚である。様々な柄がパッチワークのようにつなぎ合わされ「モールスキン」より毛足が短くより緻密に織られている、しかも極めて「糸」がよい。
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60年代から70年代半ばにかけてロンドンの街角には「グラニー」をはじめ「Mr.Fish」「ブレイズ」などヤングミリオネアーやロックスターが通った「ポップ」で時代の風を帆いっぱいに受けたビスポークテーラーが煌めいていた。私はちょうどその時代に「青春」を送った。
この時代は20世紀のヤングカルチャー(音楽だろうと、ファッションだろうと、、、)の「核」として語り継がれ、21世紀のいまも影響を与え続けている。

これらの店はサビルロー以上に仕立てに拘りそして驚くほど高額だった。そして彼らが残したオリジナルな素材は大胆でポップでいながらクラシックな生地に負けない質と凝りに凝った「組織(織り)」をしていて、めったに「発見」できないが私の宝物だ。(彼らは60年代の「糸」も「織機」も「職人」も揃っていた良い時代のハダースフィールドのミルにオリジナル素材を発注していた。何故なら彼らは従来の素材に飽き足らず、いままでに無かった「自分たちのエイジ」の素材を欲していた。だからこの時代に英国織物史上でもそれまでに類のないオリジナルで特異で上質な素材が開発されている。英国でもこの時期に生み出された布地をひとつの「時代(decade)」として評価づけた書物、論文は見当たらないが、「質」はもちろん「量的」なヴァリエーションも充分あり再研究の対象として大いに価値があると思う。)



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このグラニーでクラブメンバーMさんに仕立てたのはクラシックなハンテイングウエストコート。ノッチドラペルがついた6つボタン、背中も同素材で仕立てられている。ラペルは立体的にふわりと翻るようにヴィンテージのアルパカで制作した特製の芯地がはいっている。

特筆すべきは19世紀の貴重な「ハンテイングボタン」で飾られていることだろう。左の写真がその実物である。一個ならともかくセットで揃えるのは至難の業でボタンコレクターが割拠するアトリエメンバーのなかでも垂涎の的だ。
















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そしてアトリエのシグネチャーのひとつ「ビスポークトートバッグ」である。(アトリエではクラシッククローズだけでなくあらゆるものが職人さんの手によってつくりだされている。)、

ハンドルには英国の「シノワズリー」(「中国趣味」が流行った時代で龍が織り込まれているがかつての英国で織られた。)の時代の厚手のシルクを合わせている。

裏地には「絹より勝る」といわれた日本の昭和の「きもの」用の真紅の綿の裏地を張っている。これがシルクのように底光りして、光沢が美しく、内貼りとしても軽くて頑丈なのだ。ベルトとハンドルは大久保の手による。オレンジとオフホワイトのリザードがかっこいい。



ビスポーク トート_b0151357_07590110.jpgビスポーク トート_b0151357_07595655.jpgベルトとハンドルは大久保の手による。オレンジとオフホワイトのリザードがかっこいい。























































       





「ティラー六義」

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by tailorrikughi | 2017-04-19 08:09 | ■「ビスポーク トート」
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