「最高のホワイトカシミア80%&ミンク20%」



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「最高のカシミア」
title copyright 2017 MOMOTOSEDO, Ryuichi.Hanakawa.
RED ROOM COLLECTION

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これはもはや「カシミア」という概念を超越している。



なんと最高のホワイトカシミアの原糸にミンクが20%以上も織り込まれているのだ。

「エレガントなスーツ地」としてアトリエで推奨している1980年までの低速織機で織られた「厚み」のあるsuper130`s~super150`s の ウースティッドで約5%のカシミアが織り込まれている。それだけでも底光りのする「ディグニティー」が現れるというのに、、、

私が英国のハダースフィールドで織機の名作を探し巡って生地を織った経験から言うとカシミアが10%混じると「かなりカシミア寄り」の質感になる。20%混じるともう「カシミア」を主体としたウール&カシミアとなる。

それが今回は「ミンク」が20%入っている、、、繰り返しになるが「ミンク」が「ホワイトカシミア」に織り込まれているのだ、、、この質感は独特だ。 カシミアというよりは銀色のミンクの毛皮の表情を秘めた「異形」である。




この「異形」の「カシミア&シルク」が織られたのにはひとつのストーリーがある。

実はこの「異形のカシミア」は最高値のホワイトカシミアを原糸としているだけでなく、繊維の長い「スパンカシミア」である、カシミアであるのに、ギュっと鷲掴みにしてもパッと手を放せば皺ひとつ残さず復元する。

つまり、スーツが仕立てられるのだ。

このカシミアは、以前ご紹介したサヴィルローを驚愕させた皺の寄らない最高級ホワイトカシミア「BellCash」とほぼ同時期に織られている。

まだ、「スパンカシミア」という概念がない時代である。

「BellCash」は「完璧なカシミア」というふれこみで登場した。

「とろけるよな手触りで、しかも、ぎゅっとわし掴みにしても手を放せば皺ひとつ残さずパッと復元する。」、、、

それまでカシミアは布地の王様として君臨していたが、汽車に乗っての旅などではくしゃくしゃと皺がつく、
それに膝小僧がすぐ出てしまいそうだから、ズボンは仕立てられない。

「カシミア」は軽く暖かく肌触りは良いのだけれど気を使う、皺のよらない扱いやすいカシミアのスーツがあればなんと快適、幸せだろうとbespoke好きは夢想していたものだ。

そこに「BellCash」が登場したのだからみんな驚いた。

しかし、当時、それ以上のものが織られていたのだ。

BellCashの登場に刺激を受けた各ミルがそれぞれ独自の研究をして「BellCash」以上のものをつくろうと琢磨していた。
私が調べた範囲ではスコットランドとドイツでいまでいう「スパンカシミア」が試作されていることが分かった。

なかでも
1960年代後半に英国のミル「リード&テーラー」でほとんど手作りで織られたホワイトカシミア80%&ミンク20%のこの「スパンカシミア(当時はスパンカシミアという「言葉」はなかった)」は時代が生んだ「名作」である。





記録によると老練の職人5人がかりで、織られたのは結局一反のみ。採算度外視の仕事で一日15センチほどしか織れなかったという。「幻の傑作」である。

私が知る限り、これは人間が生み出した「世界最高のカシミア」だと思う。

濡れたような、或いはミンクそのものの毛皮のような質感を持ついままで手にしたこともない最高の「糸」で必要以上に緻密に織られている。

とろけるような質感なのに、ギュっとわし掴みにしても、手を放せば皺ひとつ残らない強靭さ(復元性)を併せ持つ。
この触り心地と何よりも美しいドレープ感は比較するものがない。

このカシミアを触った者はもう「後にもどれなくなる」 だろう。

旅先のレストランで思わぬ古酒に巡り合い、ただ、ただ陶然としたことがあるように、これは「魔性の布」といえるのかもしれない。


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by tailorrikughi | 2017-04-01 13:06 | ■百年素材 最高のカシミア
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